人と共に住するもひとりなり



(1月29日付学級通信より・続)


【人間は孤独な存在・・・今年の年賀状から(2)】

 前々任校で担任をしたO君。東京に住む自衛官である。

「年末に結婚しました。周りから『おめでとう』と声をかけられると、一遍上人のある言葉を思い出します。

 『生ぜしもひとりなり。死するもひとりなり。されば人と共に住するもひとりなり。そひはつべき人なき故なり(諸君のための平居訳:人間は、生まれてきた時は1人で、死ぬ時も1人だ。だとすれば人と一緒に住んでいても1人だ。だから、最後まで常に寄り添って生きる人などいないのだ。)』

 妻を大切にするのは当然ですが、心の奥の自分の声と対話する孤独な時間も大切にしたいと思う今日この頃です。

 今年もお会いできる日を楽しみにしております。お元気で。」

 新婚さんの年賀状には見えない。これが冷静なO君のいい所だ。

 人間は社会的な生き物で、決して1人では生きていけない。一方、家族であれ他人であれ、決して全てを共有することは出来ない。独自の自分であることと、周りと理解し合い協調することのバランスは、何歳になっても難しい生き方の問題だ。


(裏面:1月11日付『日本経済新聞』文化欄、橋本晋哉氏による「蛇型楽器長〜く響け」引用

平居コメント:私は楽器の歴史が大好き。それは人間の表現欲の歴史だからね。ここで話題になっているセルパンという楽器を、相当昔から知っている私だが、いまだに実物を見るチャンスがない。だけど、やっぱり面白い楽器だなぁ。)