宮水オープンキャンパス



 書いておきたいことはあれこれあるのだが、私的に多忙を極めていて、なかなか更新できない。そこで、最近私が、県教育委員会高校教育課の「メルマガ」というのに寄稿した(←自発的にではなく、お仕事として)文章を載せておこうと思う。ヒラメのネタは、7月頃にも一度書いている。


〈ヒラメの成長はおもしろ〜い!!・・・栽培実習場の今〉

万石浦に面して建つ栽培実習場の最近の姿について報告したいと思います。

 海に面しているとはいえ、内海であるために津波の影響をほとんど受けなかった栽培実習場ですが、地震の揺れによる配管の破損などで、長く使用不能の状況に陥っていました。海水取水ポンプが復旧したのは、震災から2年あまりを経た今春でした。

 ところが、そこで魚を飼うのは容易ではありません。2年以上にわたって魚介類を孵化させることも出来ておらず、水槽で飼える状態の魚を獲ってくるのも難しかったからです。魚の姿をたくさん見ることが出来るようになったのは、それから更に2ヶ月を経てからのことです。

 現在は、震災後に実習場で孵化させたウニやナマコも大きくなってきました。6月には、青森県八戸市青森県栽培漁業振興協会から送ってもらった受精卵を使ってヒラメを孵化させました。卵がうまく孵化するためには、卵が水中に漂っている必要があります。ところが、最初、卵は水槽の底に沈殿してしまいました。これでは孵化しません。いろいろと原因を探したところ、卵を採った八戸の海と、石巻万石浦では塩分濃度が微妙に(1000分の2くらい)違っていたそうです。たったそれだけの違いで、卵は孵化できないものなのです。自然というもののデリカシーにはびっくり!です。

 ヒラメという魚は、生まれた時には、他の魚と同じように目が左右にあって、体の形も扁平ではなく、水中を泳ぎ回っています。それが、2〜3週間でだんだん目が左側に寄り始め、体の形も次第に扁平となって、1ヶ月あまりのうちに私たちが知っているヒラメの形になり、やがて水底にじっとするようになります。ヒラメはその生涯で、魚としての進化の歴史を追体験するようです。面白いものですね。

 震災前、実習場の水槽には、40〜50センチのヒラメが飼われていましたが、震災後、ポンプの破損で水質が悪化し、全て死んでしまいました。今夏孵化させたヒラメが、そのような大きく立派なヒラメになるのはいつなのでしょうか?

 他にも、元気なボラの稚魚、ヨウジウオ、タツノオトシゴといった不思議な魚、ハゼやアイナメといったのっそりとした底魚など、いろいろな魚を見ることが出来ます。

 宮水は11月9日(土)にオープンキャンパスを開催します。中学生は体験授業、大人の方には同じ時間帯にキャンパス見学会を実施します。栽培実習場を見るチャンスです。来春宮水を受ける予定の人もそうではない人も、子どもも大人も、ぜひ、今書いたような魚たちに会いに来て下さい。」 


 明るいトーンで書く必要があったので、忌まわしき「防潮堤」にはあえて触れていない。さて、「オープンキャンパス」である。基本的には、宮水受験を考えている中学生対象のイベントだが、今年は、宮水に興味関心を持つ一般の方向けのキャンパス・施設見学会を同時開催する、というのが特別である。エスコート係は私になりそうだ。どうぞ。