東京ドームで野球!



 5日は、主目的であった野球大会である。 東京まで行ったからには、予選を勝ち抜き、遂に全国大会!・・・というわけではない。それでいて、なんと会場は東京ドームである。東京西川という布団メーカーの製品を販売する小売店グループである西川チェーンが主催するもので、正式名称は「第26回西川チェーン少年野球大会」。西川チェーンを構成する布団屋さんの中で、何かしらの事情で許された7県(宮城、福島、栃木、新潟、長野、埼玉、静岡2)、8つの店が推薦するチームが出られる大会である。そのうちの1店舗が石巻の某布団屋さんで、それがたまたま石巻小学校の学区内にあったため、わが息子の所属するチームを推薦してくれた、というわけだ。(しかも、その某布団屋さんの専務は、石巻高校時代の教え子であることを会場で知った。東京ドームのダッグアウトで、思いがけない人から「平居先生!」などと声を掛けられると、本当にびっくりする。)

 話を聞いた時、予定表で「親子キャッチボール」の時間を見つけた私は、東京ドームのフィールドで野球がしてみたくて、けっこう積極的な気持ちで付いて行くことにした。実は、私は観客としてもドームに入ったことがない。おそらく、子供達よりも私の方が楽しみにしていたに違いない。

 東京ドームのスケジュールは厳しい。この日も、夕方からはイースタン(二軍)のジャイアンツ戦が行われるということで、午前中だけが貸し切り。ドームのオープンは朝6時。4:45起床、5:20集合、外で準備運動をして、6時に入場、6:20から開会式があって、6:40分から試合という過激スケジュール。前夜飲み過ぎた私には少々つらい。

 「少年野球大会」であり、県によっては予選があったらしいのだが、8チームが抽選で当たった相手と1試合だけを行い、1時間制限の全4試合で、閉会式をやって終了。「大会」といっても、親善試合、もっと悪く言えば練習試合のようなものであった。それでも、けっこう接戦が多く、なかなかいい試合が続いた。子供たちは、第1試合で埼玉県の加須(かぞ)少年野球団と対戦。見事、2対1で勝利した。

 ドームに入った瞬間こそ、おーっと思ったが、実は案外狭い。周囲が全て覆われているからなのか、楽天・コボスタジアムの2倍も観客が入るとはとても思えなかった。何しろ親善試合なので、家族もフィールドはもちろん、ダッグアウトにも自由に入れる。私はダッグアウトとカメラマン席を行ったり来たりしながら見ていた。場内放送は多分プロ。電光掲示板には、プロの試合と同様に、ちゃんとチーム名・選手名が表示される。そこに自分の名前が出た瞬間、子供たちは大喜び。せっかくのドームなので、監督は1年生まで全員を少しずつ出してくれたが、選手交代の場内アナウンスや電光掲示板の変更が終わらないうちに次の交代になるといった具合で、そのドタバタがなんだかおかしかった。

 少年野球で使うフィールドは限られているので、試合中、外野で「親子キャッチボール」という名の自由練習だ。私たちは、第4試合のレフト側。ドームのフィールドを走り回るのは楽しい。ただ、驚いたのは、周囲にぐるりと付けられた照明装置の明かりが案外まぶしくて、フライを追うのがとても難しいということ、人工芝のグランドは凸凹が多くて、ボールがむやみにイレギュラーすることだ。プロの試合を見ていると、イレギュラーなんて滅多にないので、人工芝のグランドはよほど使いやすいのだろうと思っていたが、そうではなかった。硬式ボールがそれなりのスピードで弾めばイレギュラーしないのかも知れないし、照明は慣れの問題なのかも知れないが、プロはよくこんな所で試合をしているなぁ、というのが正直な感想だった。

 いい経験をした。今度は甲子園か神宮で野球をする機会なんてないかなぁ?