言葉を知らなければ話せない・・・NIE英語研修会



 今日は朝から、見たい本があったので、まず東北大学図書館に行った。12月に仙台市地下鉄東西線というのが開通してから、仙台市街地の手前「六丁の目」という所に仙台行きの高速バスの停留所が出来た。バスをここで降りて地下鉄に乗り換えると、仙台市街の地下を通り抜け、東北大学のある川内まで一気に移動できると気が付き、やってみた。これは正解。バスが仙台駅に着く頃に、私は東北大学のキャンパスに着いていた。なにしろ、バスというのは、先日バスと鉄道の比較をした時(→こちら)に触れなかったが、人が降りるのにやたらと時間がかかるという欠点がある。降車時に一人ひとりお金を払う、しかも、両替だの、回数券が欲しいだのといった話もあるので、真っ先に前に出ないと、ほとんどの乗客が降りる仙台駅前では、降りるだけで5分以上かかることになってしまう。その点、市街地の手前で降りれば、信号や渋滞にかかりにくい上、降りる客がほとんどいないので楽ちんだ。今日のやり方を使えば、家を出てから大学まで(バス停までの20分を含めて)2時間以内である。ものすごく便利!

 午後は、河北新報社で行われた「NIE英語研修会」というのに参加していた。え?お前は国語の教員だろ?と思う人も多いだろうが、今日の研修会は主催が宮城県NIE推進委員会高校部会で、私がその形式的な会長だからである。

 13時から16時までという長めの研修会は、前半50分が仙台市内某高校のO先生による、新聞を使った英語の授業についてのプレゼン、後半2時間が、兵庫県の灘中・高等学校の教諭・木村達哉氏による講演「使える英語力を備えた人材の育成に向けて」であった。集まったのは約30名。私と某大学の先生以外は全員が英語の先生だった。

 12月に、O先生からこんなイベントをやりたいという話が来た時には、なんだか思いつきっぽくて嫌だな、と思ったのだが、とてもいい会になった。私は木村先生という方を知らなかったし、何といっても東大合格100名以上、天下の灘高の先生なので、私とは昔から将来に至るまで無縁の世界、ごりごり受験英語の話なんかされたら寝ちゃうだろうな、などと思っていたのだが、実は相当な有名人で、全国から講演で引っ張りだこの先生らしい。実際、話は非常に面白く共感できるものだった。なんだ、これだったら「英語」という看板を外し、前々から準備して、もっと多くの先生に来てもらえばよかったのに、と思った。

 先生が強く訴えていたのは、次のようなことだ。

・自分自身で考え、意見を持っていなければ、英語なんて話せるようになっても意味がない。

・英語を話せるようになるためには、単語の知識が絶対に必要だ。単語の知識とは、発音が正確に出来ることと、日本語→英語、英語→日本語の置き換えが瞬時に出来るということだ。

 こう書いてしまうと、さほど特別なことを言っているような気がしない。しかし、先生のリズムのよい関西弁と、織り交ぜられる先生の人生経験、生徒に与える思考問題の事例といったものの豊かさなどあって、長さを感じることのない2時間だった。

 高校3年生のスピーキングの授業で、「北方領土問題はどのようにすれば解決できるか?目の前にプーチンがいると思ってプレゼンせよ」なんていう問題なんてびっくり仰天だし、「脊椎動物について説明せよ」なんて、日本語では耳新しくも何ともない「脊椎動物」という単語、それを説明するために必要になる「両生類」とか「は虫類」とか「胎生」「卵生」とか、英語の先生でもあまり知らないらしい。それらは入試で問題になることはないだろうけど、単語を知らないと話せない、確かにそうだよなぁ、とつくづく思った。

 終了後、近くで懇親会。美味い酒をしこたま呑んで、明日の講演のために山形県の新庄に行くという先生を見送り、最終のひとつ前のバスで帰ってきた。いい1日だった。木村先生には、また何かの機会に来てもらおう、っと。