工事現場・古書店・青葉城

 今日は、仙台城南高校で行われた「宮城県NIE研究大会」というのに出席した。
 仙台の街を歩いていたら、あるマンションの建築現場の前で信号待ちをすることになった。時間があるので、周囲を眺め回していたところ、工事現場のまわりを囲む壁に「施工体系・安全衛生管理組織表」という掲示が出ているのが目に入った。その工事を請け負っている○○建設というゼネコンを筆頭に、樹形図のようなものが描かれ、部門別に多くの会社の名前が書かれている。数えてみたら110社ほどあった。なんだか感動的だった。これだけの数の会社、そしてそれらの会社それぞれから何人、何十人もの社員がこの場に集まり、みんなで力を合わせて大きなビルを建てているのだ、ということが、妙にリアルに実感されたのである。
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 仙台駅から青葉通を西進し、広瀬川を渡る直前に「尚古堂」という古書店がある。私が学生時代にはなかったと思うので、古書店としては比較的新しい。1度くらいしか入った記憶がない。今日、店の前を通ったら「閉店します」という看板が出ていた。思えば、わずか1ヶ月くらい前だっただろうか、東北大学片平キャンパス北門の少し北にある熊谷書店という古い古書店が店を閉めた。片平北門というのは、東北大学のキャンパスが分散するより前、古書店街があった場所である。私が学生時代にも、まだ数軒が生き残っていたと思う。熊谷書店の閉店で、その数はついに1軒となった。そして、少し場所は離れるが、尚古堂も間もなく閉店。新刊であれ古書であれ、書店がなくなっていくのは寂しい。
 とは言え、文明嫌いの私がインターネットをどうしても手放せない理由があるとすれば、それは古書探しである。自分が学生時代の、ほとんど「運」に頼るかのような古書探しは、近年劇的に改善された。今や外国(私の場合は中国だけだが)の古書さえ容易に探し出して、入手できる。もっとも、そうして古書が手に入るようになったおかげで、論文か何かを書く時に読まずに済むということもなくなってしまい、出費と作業が増えたりもするのではあるが・・・。
 今や、店頭販売を行わず、地価の安い田舎に倉庫だけを持ち、通販に特化した古書店も多いと聞く。う〜ん、古書店についてはそれも仕方がないのかなぁ?それでも、尚古堂の閉店はやはり寂しい。
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 時間があったので、青葉城址に立ち寄った。何年ぶりか見当も付かない。少なくとも25年は行っていないだろう。東側の入り口(詰門跡)から入ると、護国神社によって立てられた看板が正面にあり、「美しい日本の憲法を早急につくりましょう」と書かれている。「美しい日本」の憲法なのか、美しい「日本の憲法」なのかは表記上はっきりとしないが、おそらく後者だろう。もちろん、現行憲法アメリカによって押しつけられた美しくない憲法だ、ということである。憲法の内容がいいか悪いかではなく、制定過程にアメリカが関わったというだけで憲法そのものを否定する、そういう感情的な主張をする大嫌いな政治家の顔がいくつか頭に浮かんだ。不思議とそういう政治家ほど日米同盟を大切にし、アメリカに媚びを売るような態度を取る。そのようなことも含めて、不愉快であり興醒めだった。
 一方、青葉城址そのものはいい場所だった。気持ちよく晴れていたこともあって、仙台市街を一望でき、泉が岳や船形山、七ツ森までもがよく見える。展望台として本当に素晴らしい。平日の午後ということもあってか、人は少なく、中国語も聞こえてこなかった。
 NIE研究大会のお話は、気が向いたら明日・・・。