本当に未婚?

 もう1点は、結婚している?していない?という問題だ。
 と言うのも、後ろへ後ろへとページをめくっていて、ある学年くらいから女子の旧姓欄に空きが多いことにふと気付いたのだ。もちろん、それが20代か、せいぜい30代前半なら問題にはならない。既に40歳を過ぎている年代の話である。目立って旧姓欄の空きが増えるのは、40回生(1988年卒)くらいからではないか?40代も半ば過ぎだ。
 そして例えば、キリのいいところで、今年40歳になる1996年卒の48回生を見てみよう。この年、女子の卒業者は223名であったが、そのうち2名が既に亡くなっている。物故者を除く221名のうち、旧姓が書かれていないのは129名である。その中に、居所(おそらく=消息)不明と書かれている人が28名いて、その場合は、姓変更の有無も分からないので、分母、分子の両方から28を引くと、旧姓が書かれていない率は101÷193で52.3%、すなわち過半数となる。これはびっくり!!
 試しに、私の学年である33回生(1981年卒。卒業生180名、うち物故者2名)を見てみると、旧姓の書かれていない人は24名である。居所不明かつ旧姓無しという8名を、やはり分母・分子から引いて計算すると、16÷170で9.4%に過ぎない。
 40歳と言えば、特に女性の場合、今から結婚を考えようという年齢ではない。40歳以降で新たに結婚する人の数は決して多くないだろう。もちろん、結婚しても姓が変わらない人、変えない人はいるだろうし、離婚して元の姓に戻った人がいてもおかしくない。だから、52.3%が直ちに未婚率を表すとは私も思わない。
 しかし、同じ学年の男子を見てみると、姓が変わっている人は1名に過ぎない。前後の学年を見てみても1〜2名だ。これが養子率を表しているとすれば、結婚しているが姓が変わっていない女子というのもまた、ほとんどいないことを意味するだろう。
 今年発表された2015年の国勢調査の結果によれば、現在の日本では、50歳までで1度も結婚しない人が、男で23.37%、女で14.06%に上る。男で4人に1人、女で7人に1人がほぼ生涯独身ということである。それは非常に高い数字なのだが、高学歴では特に未婚率が高い、とも言われる。だが、片田舎の名門校もどきに過ぎない我が母校が、4年制大学進学率こそ高いものの、特別に高学歴者を生み出しているということはない。同窓会に名簿作成用の住所を伝える時、新姓をあえて隠すデメリットは思い浮かぶが、メリットは思い浮かばない。だとすれば、やはり52.3%というこの数字は異常ではないか?
 半数が独身、というのは本当かどうか?姓の変更を届けないとしたら、それはなぜか?これもまた、社会を反映していると思われる。頭の中から「なぜ?」が消えない。(名簿シリーズ終わり)