職人の技を見る

(9月15日付け「学年だより№61」より②)


【映像の力はすごい!・・・教養講座第1回】

 ビジネス科は9月2日、普通科は9月9日に、予定通り教養講座第1回を行った。『西本願寺御影堂10年大修復』前編(=主に屋根と土壁の修復)を見る、という企画である。暑かったし、床に座って1時間半の映像を見るのはつらかったが、感想を読ませてもらうと、やはり真面目に見ていた人はいろいろなことを学び、感じたようで、映像を見ることの価値は大きいと実感した。私が下手な解説をするよりも、感想そのものを見てもらうことにしよう。

「興味を持ったのは、鬼瓦の獅子口の部分です。2ヶ月間、我が子のように大切に河原を『育て』、そして完成し、『巣立って』いく。とても素敵な仕事だと思いました。」

「土壁でわらを入れて作る技術にとても興味が湧きました。わらが分解されていくことで、土と土のひび割れを防ぐとても重要な役割をしていて、これを考えた人は凄いと思いました。いつか絶対見に行きたいと思いました。」

「職人さんの手さばきがとてもかっこよかった。何事も最終的には人の手で作られるんだ、と思った。」

「20m先のものまで何㎝ずれているか分かるのがすごいと思いました。修学旅行で行けるかどうか分からないけど、この動画を見るのと見ないのでは、実際に行った時の感じ方が違うと思いました。1㎝の傷みも見逃さず、新しいものに変えているから、何年経っても建物を守ることが出来ているんだ、また、そういう技術を持っている人たちのおかげで歴史が続いているんだ、と思いました。」

「古い木に新しい木を組み合わせる技術がすごいと思った。2つがぴったりと組み合わさった時は、なんだか気持ちがよかった。それから、白いしっくいもきれいだと思った。また、焼き上がった獅子口の色も美しいと思った。一番感心したのは、、修復に江戸時代のものを使うところだ。現代の職人さんたちから、昔本願寺を作り上げた職人への尊敬を感じた。どの職人さんの技術にもほれぼれした。」

(↑ 「継手」に感動したという作文がけっこう多かった。 ↓)

「人がたくさんの思いと手間をかけて造り上げたものは、こんなにも美しくなるのかと思い、びっくりした。継手という技術が、見ていて感動した。やはり、古いものでも、今も残っているものはそれだけの価値があり、後世に伝えていく必要があるからだと思いました。」

「自分は神社の空気感がとても好きで、中学の時も、一人興奮して神社参りをしていたのだが、中までは深く知ろうとしなかった。こういった苦労があったのかと思うと、見る目が変わる気がする。少し視野を広げて、内部の構造、屋根のデザイン、扉の細かい飾りなど、小さな努力にも目を向けられたらよいなと強く思った。私的にとても心が引かれたのは、瓦のデザインだった。特に花がかたどられたパーツを作っているのを見た時は、レポートのプリントを忘れるほど見入っていた。」

「思った以上に繊細な作業が多くて驚きました。瓦の屋根は好きではありませんでしたが、1枚1枚丁寧に重ねられていくところや、きれいに並んだ屋根瓦を見て、美しいと感じました。江戸と平成の技術が組み合わさった建物が存在するのは、とても素晴らしいことだと思いました。」

他にもいい作文がいっぱいあったので、本当はもっと紹介したいのだけれど、キリがないので、涙を呑んで今日はここまで。次回(後編=内陣の修復)は23日。乞うご期待。