それでも7000万、だよ。

 すさまじい接戦になっているアメリカの大統領選挙も、ようやく大詰め。普通に考えれば、バイデン氏の当選がほぼ確実になってきた。トランプ氏は今から激しい法廷闘争を行う構えらしいが、果たして、それで当落がひっくり返るなどということがあるのかどうか・・・。
 バイデン氏が勝ちそうでよかった、とは必ずしも思わない。もちろん、トランプ氏が勝つよりはいい。しかし、たとえバイデン氏が勝ったとしても、トランプ氏に投票したアメリカ人が7千万人もいたという事実は動かない。あの、下品で、無教養で、図々しくて単純、幼稚な人、どう考えても、この人が国の代表であるということを恥じずにはいられないような人を、7千万人が支持しているのだよ!!何かにつけて発言が暗い私であるが、どうしたって世の中を悲観せずにはいられないではないか(←私はこういう人だから「革命家」になれない)。
 今回の大統領選挙に関して、私が事前に最も恐れていたのは、アメリカが戦争を始めることだった。戦争が始まれば、「そんなこと言っている場合じゃないだろ」と言って異論をつぶすことが出来、大統領への求心力が大きくなるからだ。権力者が好むやり方である。就任以来、トランプ氏がイスラエルに関していろいろな動きを起こしていたことは、一部の過激な(←「気骨ある」の方が正しい表現かも)アラブ人を挑発し、戦争のきっかけを作り出そうという作戦なのではないか、とも疑っていた。どうやら、さすがにこの可能性はなくなったと見てよいだろう。
 次に心配していたのは内戦だ。もっとも、民主党が受けて立つことはないだろうし、仮にそれをしようとしても武力を用意できないだろうから、あり得るとすれば、むしろトランプ氏による軍事クーデターかも知れない。「民主国家」アメリカでまさか・・・とも思っていられない。上に書いたようなトランプ氏の人間性の問題も、その人をアメリカの半分近い人が支持しているという現実もあるからだ。アメリカ軍ではなくても、100人の狂った武装有志が集まれば、国民全体を黙らせることは出来るかも知れない。この可能性はまだなくなっていないように思う。
 幸いなのは、バイデン氏が勝ちそうだということよりも、トランプ氏の法廷闘争を辞さずという姿勢に、共和党内部でも異論が出ているらしいことだ。この点だけは、今の日本政府よりも少し健全な気がする。
 アメリカの大統領ともなれば、ある一国の内政問題とは言っていられない。トランプ氏に7000万はどうしても許せないが、とにかく民主党が政権を取り、対立と分断の政治を終わらせ、自国の利益ではなく、国際協調による世界の利益を目指す体制を早く取り戻してもらわなければ。それでこそ「偉大な」アメリカだ。