支持率急落とはいうものの・・・

 日曜日は毎日新聞、今日はNHKと世論調査の結果が発表された。現内閣の支持率が急落しているらしい。決して悪いことではないけれど、かといって、さほど明るい気分にもなれない。
 今の問題で一番深刻・危険なのは、学術会議の任命問題である。長い目で見た時に、これが最も民主主義に対する破壊力が大きい。新聞報道では厳しい批判記事が目につく。ところが、世間はさほど重大視しない。
 そして、今回の支持率低下だって、要因はコロナ対策の失敗、特に「Go to」事業の継続のようだ。おそらくこのことで慌てふためいたのであろう。今日、今月28日から来月11日までの停止を決めたのは、なんとも見苦しい。
 支持率低下が感染症対策によるとすれば、政治理念といったことと関係する構造的な批判ではない。おそらく、今の新型コロナウィルス蔓延は止めようがない段階に達しているのであって、自民党以外の何党がやっても上手くいかないだろう。現在、自民党政府が苦しんでいるとおり、より効果的な対策を取れば、今度は経済の失速をどうにも出来ない。この二律背反を克服できる政治家はいない。
 今年の国債発行高が100兆円を超えるそうである。もちろん、コロナ対策が爆発的支出増加の原因だ。その金額の途方もなさ、にもかかわらず、さほど深刻な事態と考えている風がないのは恐ろしい。1975年、オイルショックによって日本の国家財政が赤字に転落し、戦後初めて赤字国債というものを発行した時、それによって景気を回復させれば、財政状況が好転し、国債の償還など可能になるという説明が為されていたように記憶する。その後、若干の紆余曲折を経て、本格的に(無節操に)赤字国債が発行されるようになったのは、前世紀の末からであって、それ以来今までわずかに20余年。それでいて1000兆円もの借金が生まれたのだから驚く。コロナ対策の国債だって、償還できる見通しなんか立つわけがない。
 今の内閣にしてみれば、どうせ借金を返すのは自分たちではない、それどころか、本当にそれが切羽詰まった問題を引き起こした時には、政界から引退さえしていることが確実なのだから、どうでもいいのであろう。そんな先のことを考えるよりは、今の人々の歓心を買った方がいい。
 コロナだの「Go to」だのと大騒ぎするにつれて、日本学術会議は忘れられ、問題がすり替えられ、いつのまにか独立行政法人化で決着さえ付きそうな気配である。国会ではまともな議論など行われないのに、自民党内の作業チームには活気がある。そこで決まったことが国会で追認されるだけ。
 いくら、アホな国民の反映とはいっても、議員バッジを付けている以上は、プライドを持ってもう少しまともなことをしてくれないものか・・・?無理なんだろうなぁ。