6分の1が終了

(2023年10月2日「担任のお話」№22より)

 諸君が秋休みだった先月の29日は、いわゆる「中秋の名月」であった。石巻では天気に恵まれ、素晴らしい月を見ることができた。やはり、空気の澄んだ秋の月は美しい。
 実は、その日は私の誕生日でもあった。なんと61歳である(びっくり!!)。この10年ほど、誕生日はなんとも気が重い。確かに、この歳までなんとか生きていられて、行動にも不自由がないというのは感謝すべき幸せなことではあるのだが、能力的にも、社会的にも、可能性というものがどんどん先細っているという実感は大きく、それがなんとも寂しい。高校生には分からないだろうなぁ・・・。
 中国では昔、若いことを「春秋富む」と表現した。直訳すれば、「時間がたくさんある」となる。元々、皇帝に意見を言う時、「陛下はまだ若い」と言うと「未熟だ」というニュアンスを帯びて失礼に当たるため、それを避けようと考え出された表現なのだが、「若い=時間(=可能性)がたくさんある」は、今の私には心から納得できる上手い表現だ。
 もちろん、諸君も「春秋富む」だ。しかし、「光陰矢のごとし(時間の流れは矢のように速い)」とも、「少年老いやすく学なりがたし(若者はすぐに年を取ってしまうが、学問をしっかり身に付けるのは難しい)」とも言う。
 今日から後期。諸君は高校生活を既に6分の1終えたということだ。この間に、どれだけのものを手に入れただろうか?それを6倍したとき、自分が入学時に思い描いていた「高卒」に値するだろうか?・・・自問してみて欲しい。


裏面:9月26日付け朝日新聞より「ノーベル賞 有力候補は」を貼り付け。
平居コメント:この三つを「自然科学三賞」と言う。ノーベル賞の花形だ。他に文学賞と平和賞とがある。さて、経済学賞(これだけ性質が違うので別扱い)を除くノーベル賞受賞者の発表が行われる5日間を「ノーベル・ウィーク」と言う。この記事にもある通り、今年は今日から始まる。日本の報道では、日本人から受賞者が出るかどうかということばかり問題となるが、私はどこの国の人が受賞しようがかまわない。ただ、年に一度、この賞に関する報道のおかげで、科学の最先端を平易な解説で概観できるのは楽しい。明日からは、受賞者にスポットを当てた記事が出るようになる。


*その他の記事(向こう一ヶ月間の予定、後期の始まりに当たっての原点確認など)は省略。