宇治と山科

3月31日(日)

姫路7:21―(新快速)―8:59京都―(地下鉄)―二条城前(宿に荷物をデポ)・・・錦市場・・・祇園四条―(京阪電鉄)―宇治・・・興聖寺・・・宇治上神社・・・三室戸寺・・・萬福寺・・・黄檗―(京阪電鉄)―三条―(地下鉄)―御陵・・・天智天皇陵・・・本圀寺・・・山科疎水・・・毘沙門堂・・・山科聖天・・・徳林庵・・・JR山科駅――京都・・・東本願寺・・・西本願寺・・・四条大宮―(嵐電)―車折神社・・・鹿王院・・・JR嵯峨嵐山駅(教え子の家でご馳走になる)21:55―22:05二条・・・二条城

 この日は京都。なにしろ、大学時代以来、何度となく訪ねていながら、地図やガイドブックを見ていると、行ったことのない場所が多くて驚く場所なのだ。
 この日訪ねた場所で、最も行ってみたかったのは宇治上神社世界遺産指定)と萬福寺である。宇治は、平等院に2度行ったことがあるのだが、宇治川の対岸を散策したことがなかった。京阪宇治線に乗ってみたいという気もあった。
 天ヶ瀬ダムの水を放流している最中だとかで、宇治川の水量は多かった。川沿いにきれいな道が付いている。宇治上神社は、驚くほど小さく、華奢な建物だった。なんだか数寄屋造りの建物を見ているような気さえした。
 三室戸寺は、お寺自体よりも三室戸という所に行ってみたいと思っていた。かぐや姫の名付け親は「三室戸斎部の秋田」である。『竹取物語』の舞台がどこかは分からないのだが、「三室戸斎部の秋田」の居所から遠かったはずはない。「三室戸斎部の秋田」とは、「三室戸で祭祀を司る秋田という人」だろうから、その人を呼べるということは、『竹取物語』の舞台も三室戸界隈に違いないのである。
 それにしても、三室戸寺は「はずれ」であった。あの拝観料1000円というのはいったい何なんだろう?まったくただのお寺である。広大な庭があって、ツツジアジサイシャクナゲが大量に植えられているが、この時期はまだ咲いていない。近くに竹林はある。しかし、京都界隈はどこでも竹林が多い。当たり前のことなのだが、『竹取物語』の雰囲気はどこにも求めようがなかった。
 30分以上歩いて萬福寺に着く。こちらは立派な伽藍である。本堂2階部分の屋根の反りを始めとして、随所に中国風のデザインが見られる。江戸時代前期(17世紀後半)創建の比較的新しいお寺だが、全ての建物が創建当時のままだというのは珍しい。
 山科は、疎水に沿った道が気持ちのいい散歩道だったが、それだけ。疎水には琵琶湖から来た水が、ちょうど人が歩くくらいの速さで流れている。夏場、浮き輪に乗って水の流れに身を任せたらさぞかし気持ちがいいだろうと思ったが、もちろんそれは出来ない話。
 錦市場は、東西本願寺とともに私が大好きで、京都を訪ねるたびに必ず行く場所である。しかし、今回訪ねてみると、観光地化が激しく、「京の台所」といった趣がほとんどなくなり、もう行かなくてもいいな、と思った。一方、本願寺は健在である。あの巨大で屋根の線の美しい建物を見ていると、胸のすくような爽快感がある。
 日中は息子(二条城→北山)と別行動だったのだが、夜は、一緒に石巻高校時代の卒業生S(→この生徒についての過去記事)の自宅に招いてもらっていた。元々、そんなつもりではなかったのだが、まったくの偶然、私たちが出発する数日前に、聞きたいことがあるとかいってSから電話があった。だったらいっそ京都で会おうと言ったところ、では自宅に、となったのである。大覚寺の裏手の落ち着いた住宅街に建つお屋敷で、美味しい手料理と珍しい日本酒をあれこれご馳走になり、楽しく歓談して、いい気分で宿に戻った。