久しぶりで時の話題(TPPと巨人の内紛)



 久しく、震災以外の時事問題から遠ざかっていた。二つの問題に触れておこう。


 一つはTPPである。この問題については、今年の2月7日に書いた。今読み直しても、考えは変わっていない。予想される農業の壊滅的衰退を、私は、農家の生活の問題ではなく、日本の食糧自給の問題だと考える(結果は同じこと)。だから、農業を守れるという保証がなければ、TPPに参加してはならない。ただし、TPPに参加しないことは、目前の利益で考えれば大きなマイナスである。現在、TPPへの参加に反対している人々が、その大きなマイナスを引き受ける覚悟の上でそう言っているのかどうか、その点は問いたいと思う。私は、その覚悟をしてでも、農業を守る道を選ぶべきだと思うのだが・・・。


 もう一つは、プロ野球・巨人軍の内輪もめである。球団代表と会長の確執であるが、どちらが正しいかよく分からない。しかし、私は以前からネベツネこと渡辺恒雄氏には胡散臭いものを感じていた。ここで具体的には指摘できないが、なぜこの人はこんなことにも口を挟むのだろう、いったいどのような権限があってこんなに偉そうにものを言うのだろう、この人は「巨人軍」の利害でしかものが考えられないのか、といったことを何度となく感じてきた。失礼ながら「老害」だとも思う。だから、ついつい清武派に立とうと思ってしまう。

 実は今回、出典も言葉自体も探せなかったのだが、「権力は地位に付かず人に付く」という言い方があった。中国で言われたことではなかったかと思う。特にトウ小平(←漢字が出ない)に関してよく言われたことであると記憶する。1987年に、彼が党中央委員会を離れて一般党員となってからも、政府が何かの政治的判断が求められた際には、外国の要人も含めて必ずトウ小平のご意向伺いをした(せざるを得なかった)。確か、トウ小平が一般党員になった後も、重要な問題には彼の指示を仰ぐという密約があったことを、後に趙紫陽が暴露したことがあった。典型的な、「権力は地位に付かず人に付く」状態である。

 渡辺恒雄という人の影響力、或いは、彼の発言に関するマスコミ報道を見ていると、私にはいつもこの言葉が思い浮かぶ。彼が権限を持っているかに関係なく、その言葉が非常に重いものとして状況を左右するのだ。

 その言葉が中国に関してよく用いられる(?)通り、民主主義的な決定のシステムとはまったく相容れない言葉である。狭苦しいムラ社会である日本には、巨人軍以外にも、多くの場所でいまだにそのような旧弊な状況があるに違いない。「他人のふり見て我がふり直せ」。巨人軍を、自分たちの身の回りを点検するきっかけにした方がよさそうだ。