働くことは自己実現である



(3月13日付学級通信より)


 先週の進路講演会の際、諸君に書いてもらったアンケートには、一見講演会とは関係の無いような面白い質問が付け加えられていた。

 〈(6)将来の自分の仕事は次のどれにしますか?〉

 a 自分の力で何かを成し遂げる仕事をしたい  16(学年全体57)

 b 周囲の人々とコミュニケーションをしながら仕事をしたい  10(47)

 c 誰かの案に従うのではなく自分で計画を立てるような仕事がしたい  3(6)

 d 単調で気楽にできる仕事に就きたい  10(29)

 アンケートを書いたのが40人なのに、合計が39にしかならないのは、4つ全てに○を付けたアンポンタンが一人いて、それを省いたからである。

 もちろん各自の思いを正直に書いていいのだが、なんだか変だぞ、と思う。目を引くのはcの少なさとdの多さだ。まぁ、選択肢の書き方にも若干の問題があって、aとcは重なり合う部分が大きい。それでも、dをクラスの4分の1が選んだ現実は動かない。学年全体で見ても、E1はdを選んだ人の割合が高い。正直言って、主体性がなく、のんべんだらりで、ジジくさい。

 実は、〈(5)卒業後の進路についてどう考えていますか?〉で「まだ考えていない」を選んだ生徒がdを選ぶ傾向が強かった。さもありなん。自分の生き方について真剣に思い迷わない生徒が、「楽ならいい」と考えるということだ。

 だからどうしろ、と言うのではないのだが、「ほんとうにそれでいいのか?」とは問いたい。人は自分が生きる意味=自分の価値を絶えず問い直すものだし、仕事に費やす時間は、人生全体の中で非常に大きい。


(裏面)2月29日付『朝日新聞』より、「集中力 私の心得」(将棋のプロ棋士が、どのようにして自分の集中力を高めているかという内容の記事)

平居コメント:「集中力」のみならず、自分の心をコントロールすることは、年齢や職業(状況)に関係なく難しい。人間にとって永遠、究極の課題である。