門脇小学校の今後について・・・その3



 先週の水曜日(18日)夜は、「門脇(かどのわき)小学校統合・再編等に関わる臨時PTA総会」というのに出席し、昨夜は市教委(正しくは、市教育委員会の事務局。以下同)による「石巻市立門脇小学校統合・再編等検討委員会における検討内容説明会」というのに出席した。津波が押し寄せ、その後火がつき、学区の3分の2が全滅した門小の今後については、既に昨年11月1日(このブログでは同日記事)と今年1月24日(同1月26日記事)に市教委主催の意見交換会・説明会が開かれているので、今回は第3回に当たる。先立つPTA総会は、検討委員会に門小を代表して(?)出席している二人が、検討委員会で出つつある結論(来春から門小を石巻小学校に統合)を紹介し、19日の委員会前に広く保護者の意見を募るというものであった。最終決定はその答申を参考にして、「教育委員会」が決定する。

 被災した学校は多数あるが、門小以外は基本的に昨年度中に将来計画が決定した(注:つい最近、一度決まった大川中学校の河北中学校統合案が、再検討されることになった)。門小だけが年度を超えて継続審議になっているのは、学区内が今後どうなるのかの見通しが立たないことや、震災以前から、学区の線引きに問題があったからである。

 予想していたことではあるが、会は2回とも荒れた。ただ、市教委に対する批判についても、例によって出て来る「門小の名前がなくなると可哀想だ」とか「心のケアのために今のままの状態にして欲しい」にしても、「石小(震災では床上30センチの浸水)は低地にあるから危険だ。また津波が来たらどうする?」にしても、私にはまったく理解不能な話で、先週は嫌がられるだろうなぁと思いつつ、多少の意見は述べたが、私が発言すると角が立つし、昨日は、保護者の言い分に気に入らない部分は多々あったものの、最終的に目指そうとする結論については、私の思い(石小と門小を統合して門中の校舎に、石中と門中を統合して石中の校舎に・・・)と合致しそうな雰囲気だったこともあって、黙っていた。市教委が「敵」だとなれば、こぞって残忍に牙をむき、自分たちや身内の問題には絶対に触れない、というのは「群衆」の姿として恐ろしい。

 ひとつだけ、市教委の答弁で感心したことがあった。

 最近、門小が間借りしている門中の校庭に、小学校用の理科室や家庭科室を備えた仮設校舎が建てられた。現時点での案(来春、門小→石小)が仮に実行された場合、建ったばかりの仮設校舎はどうなるのか?と質問が出た。市の答弁は「取り壊す」というものだった。保護者から一斉に「もったいない!」「税金の無駄遣い!」との罵声が浴びせられた。それに対して、なんとか課長が、以下のように述べた。

 「現在、中学校の校舎では、サイズが合わないだけでなく、中学校と小学校で特別教室の使用について調整が付けられない状態になっている。理科室や家庭科室があることによって出来る勉強で、今しなければならないことは今しなければならない。1年先送りにするというのは、子供が適切なタイミングで勉強する機会を奪い、将来的に不利益を与えることになるかも知れない。だから、もったいないと思われるかも知れないが、必要であり、仕方のないことだと考えている。」

 何とか課長が、子供の発達段階や学習状況を見つめながらこのように言っているのか、法令上の基準をクリアーするために言っているのか、少し分かりにくかったのは残念だったが、見識として評価に値する内容の言葉であるとも思う。

 というのは、我が水産高校を、昨年、宮城県がどのように扱ったかということが思い浮かぶからだ。

 このブログでも度々書いていたとおり、昨年1年間、宮水はほとんど放置されていた。どうしても実習で使わざるを得ない渡波の校舎に、たった1本の電線すら1年近く引いてもらえなかったことに、それは象徴されているだろう。のみならず、例えば、早い時期に手に入りそうになった中古の旋盤は、購入を許可しないなど、積極的に復旧を妨害するような事さえやっていたのである。私たちの目から見た時、県の発想は、やがて改修・復旧のために膨大なお金をかけるのであれば、復旧計画が確定する前には、できるだけお金をかけないようにしなければならないというものであった。一方、現場の教職員は、震災があったからという理由で生徒の修業年限を4年にすることが出来ない以上、一見二度手間で、経済効率が悪かったとしても、今いる生徒に、できるだけ本来の教育を受けられるようにしてやるべきだ、と考える。その溝は大きかった。

 だからこそ、市の説明を聞いていて、県との違いに驚くと共に、理科室・家庭科室での学習がどれほど必要なのかについてはよく分からないながらも、子供達の時間のかけがえのなさに対する認識・考え方として、非常に立派なものに思われたのである。


 門小の問題を、門小だけ、もしくは統合先である石小と門小だけの問題として処理することは出来ない。なぜなら、統合先の石小の生徒が石中に入学する以上、学区の3分の1余りが壊滅した大街道小学校の生徒だけが進学するようになる門中は、すぐに生徒数の関係で存廃問題に直面することになるからである。

 昨日の会の最後は、門小のみならず、影響の及ぶ近隣の小中学校の保護者に対して、意識調査(アンケート)を行うこと、会での議論やアンケートの結果を、全ての保護者に配布して周知させること、それらに基づいて時間をかけて検討することを求め、閉会となった。いろいろ問題はあるが、やむを得ない結論かな、と思う。被災によるごたごたはまだまだ続く。