雑踏の桜よりも、山道の野花



(4月16日付け学級通信より)


 名取に住んでいる母親が、めでたく76歳の誕生日を迎えたので、そのお祝いのために、先週末は名取の実家に帰っていた。

 仙台市周辺は、石巻よりも3度くらい気温が高いため、既に桜は花を開き、満開に近い所も多かった。では、家族で花見にでも、と少し思ったのだが、その前日、母が友人と船岡(「一目千本桜」で有名)に花見に行ったところ、電車にも乗りきれないほど人がいて大変だった、と言っていたので、桜はやめて、五社山(ごしゃざん)という山に登りに行くことにした。五社山とは、名取市の西にある標高295メートルの里山だ。ポカポカと気持ちの良い春の陽気である。麓の駐車場から、幅の広い立派な道が付いている。幼い子どもと手をつなぎ、往復約2時間半。頂上からは仙台平野の絶景、道端にはニリンソウショウジョウバカマカタクリといった可憐な春の花がたくさん咲いていた。山の中で会った人は、わずか10人ほど。酒臭い人ごみの中で桜を愛でるよりも、よほど気の利いた花見であった。

 石巻に帰って来たら、我が家の桜がほんの少し花を咲かせていた。今週末は、我が家で水仙と梅と桜が同時に満開になりそうだ。


【クラス役員の決定に際して】

 金曜日4校時のクラス役員選出HRは、大いに楽しませてもらった。少しヒヤヒヤしながら見ていたが、まずまず紳士的、良識的な、適材適所の人選が出来たように思う。今年1年間、クラス全体としての「自立」を目指し、よろしく頼む。

 ところで、決定の途中で、誰かが、「引き受けてもいいけど、だったら文句言うなよ」と言っていた。私には、この発言に込められた気持ちがよく分かる。自分は係をしたくないと言って逃げ回りながら、係のすることに文句だけは立派に言う、という人が、世の中には少なくないからだ。係だって、それではやっていられない。

 だが、こんな事も考えてみよう。係が前に出て何かを話す時、「こうします」とか「こう決まりました」という言い方が多いのが、私には少し気になっている。係が一方的に「こうするぞ」と宣言し、命令するのは、あまり民主的ではないし、そもそもそれでは人が動かない。

 内容にもよるけれど、係が提示するのは、基本的に「原案」である。みんなは、係の意見を尊重すべきではあるが、クラスとして何かをよりよくしようと考える限り、その原案に意見を述べ、修正しようという姿勢はあってよいし、係もそれについて柔軟であるべきだ。

 いずれにせよ、大切なのは、「よりよくしよう」という気持ちであり、「そのためにどうすべきか」という発想なのである。


【対面式・校歌校訓指導についての「悩」】

 同じHRの時間に、『「下級生に対する威圧的指導(?)」に対する指導』について意見を求められたので、次のような話をした(既に本ブログにup済み)。

 ・上級生による指導が「許されたいじめ」になることを学校は心配している。

 ・問題が起きた時の被害者・マスコミの学校叩きが激しいため、学校は問題の発生を極度に警戒するようになっている。

 これは「解説」として私の本心であるが、一方で、あまり生徒のやることに縛りをかけると、生徒がよいエネルギーも失い、ひ弱にもなってしまうという心配、寂しさも感じている。あまり責任のない立場にいないので強くは言えないけれど、ひどく悩ましく、また寂しい。

 ところで、対面式の後、他のクラスの某君が、「俺たちのやられ損だ」とグチをこぼしている場面に居合わせた。これは違うぞ、と思う。対面式や校歌指導はどうあるべきか、という話とはまったく違って、「俺たちはやられたんだから、下にもやらないと・・・」と考えるのは、ただの「悪の連鎖」だ。そういう発想があると、やっぱりそれは悪だから止めさせた方がいい、となってしまう。これは少し考えどころである。


【まだ32名もいるぞ!!・・・年度始めの出席状況】

 諸君も知るとおり、毎年担任としての年度当初の私の夢は、クラス全員が「皆勤賞」である。しかし、残念ながら、今年も、わずか1日で挫折に追い込まれた。結局、昨日までの6日間で、欠席2、遅刻4、早退1であった。重複もあるので、皆勤でなくなった生徒は6名。最初の一週間として少ない数ではないが、見方を変えれば、まだ32名が皆勤だということになる。出席状況は、学校生活に取り組む姿勢と自己管理能力のバロメーターである。ぜひ32名の皆勤が実現しますように。


(裏面:4月7日付け『日本経済新聞』より「高校生は考えている」を引用。

平居コメント:勉強するということは世界を広げるということ。世界が広がれば、世界の問題が見え、世界を変えたいという気になる。政治なんて関係ない、バカじゃねぇの、と思う人は、自分がバカだということ。さて、選挙権は18歳以上に与えるべきか否か?

4月10日付け『日本経済新聞』より「親子で『18の約束』、米国で話題に」を引用。

平居コメント:なし)