朝市センター保育園その後



 4月20日に、仙台市の朝市センター保育園存続問題について一文を書いた。そうしたところ、2日後に朝市センター保育園の関係者の方から、「コメント」が届いた。インターネットの力はすごい!と思った。今話題の3Dプリンター同様、インターネットだって使い方を誤れば凶器なのだが、便利と言えば確かに便利なのである。

 返信をした際、「メールアドレスの記入をお願いします」と書いたところ、早速、アドレスを書いて返信をくれた。実名で、である。もちろん、それが実名かどうかの確かめようなどないのだが、保育園関係者であると言った上で「偽名」を使うとは考えにくいので、多分実名なのだろう。もちろん、写真なんて添えられていないし、会う機会なんてないのだが、実名でメールをもらったことで、突然、関係が「人間的」になったと感じられてくるから不思議なものだ。

 少し余談に及ぶが、最近、年から年中、マスクを付けている人の姿をよく見かける。学校内でも同様で、マスクを手放せない生徒というのが少なからずいる。潔癖で、感染症を極度に恐れる、といった理由ではなく、顔を人目にさらすのが嫌であるらしい。自分の顔に自信がない、ということでもない。目鼻立ちの問題ではなく、とにかく顔を人に見られるのが嫌らしいのだ。私自身は、その「嫌」という感覚を実感的に理解できない。ネットの匿名書き込みが無責任で、下品・過激になりがちなのに対して、学校で見かける「マスク」生徒は、顔を隠して悪いことをする、といった風がない(マスクをしていても誰かは分かるから、というだけかも知れない)。それでもやはり、私には、マスクは実名を隠してネットに書き込みをするという感覚に近い、と思われる。

 彼らにとっては、実名が知られない、顔が見られない、というのが「安心」なのだろう。だが、私にとっては、顔が見える、名前が分かる、というのが「安心」だ。いや、偽名とマスクの人たちでも、自分の名前・顔を知られるのは嫌だが、関わり合う人の名前と顔を知って安心する感覚というのはあるのではないか?

 話を保育園に戻す。

 朝市センター保育園のホームページを見てみると、きちんとした理念を持って保育活動をしているいい保育園だな、と思う。

 たいした数にはならなかったが、学校その他の場所でせっせと署名集めには精を出した。私が頼んで、別な所から送られた分が一定数あるようなので、「多数」 とは言えないまでも、ほんの少しは貢献したと思う。

 思えば、主に組合ルートで、署名集めの依頼はたくさん来る。年に何種類だろう?今も、安倍政権の教育改革の一部、教育委員会制度の改悪についての反対署名を集めている。しかし、署名の力を信じている人が、私も含めてどれくらいいるだろう?特に国政ともなれば、相手が遠く、大きすぎて、名前を書いたくらいで何かが変わるなどということはとても想像できない。だからこそ、書いてもプラスにならない代わりに、マイナス(責任を問われる)にもならないということで、紙を回せば読みもせずに名前を書いてくれる人がたくさんいるのだ。

 だが、今回の署名の相手は仙台市長である。マスコミも多く取材に入り、社会問題として盛り上がってきた。それらがリンクする中で、署名が力を持つ可能性があり、そのことを比較的実感しやすいよい事例であると思っている。

 当初6000筆を目標としていた署名は、既に10000を超えたらしい。保育園では目標を20000に変更し、今月末まで頑張るそうである。しかしながら、当初の目標だって、新たな目標だって、それだけ集めたら認可してあげますよ、と仙台市から言われた結果の目標ではない。だから、たとえ20000集めても、やっぱり不認可、というのはあり得ることである。目標はあくまでも努力するための目安であって、本当の目標は「認可」だ。

 こんなにしっかりした理念を持ち、健全な子育てのために頑張っている保育園をつぶしてはならない。

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