「エコな気分」から抜け出すために・・・



 今年1月に発電を開始した我が家の太陽光パネルについて、7月に県の補助金申請というのをした。申請書類の中に、「わたしのe行動(eco do!)宣言」登録用紙というのがあった。「持続可能な社会を築き、将来世代に豊かな環境を残していくため」自分がどのようなことをするか宣言しろ、というもので、1番の「家庭や学校、職場、地域でできる環境保全活動について考えます」以下、25番まで、実行する意志があるなら丸を付ける(チェックを入れる、だったかな?)という形になっていた。提出した用紙の控えを取っていないので、具体的な数を覚えていないのだが、幾つ以上丸を付けよ、という数も指定してあった。太陽光パネルを設置したという事実に対して補助金を出すなら、このアンケートのようなもので、丸を付けた数が指定した数以下の人に補助金は出せない、というのは変な話だ。とは言え、書かれている内容は他愛もないもので、大層に「宣言する」などと言うほどのものではない。よく言えば「お遊び」、悪く言えば「茶番」である。どうせ後から確かめられたりしないのだから、盲判式に全部丸を付ければいいのだが、一応、きちんと目を通して、出来そうにないものには丸を付けないことにした。私が丸を付けたのは、20個である。

 なぜ今頃こんな話を書くかと言えば、先週末、8月30日に、補助金(6万円也)の交付決定通知書というものが届き、その際、この何とか宣言登録書というものも入っていたので思い出したからである。それを見れば、7月に私が何を宣言して、何を宣言しなかったかが分かる。

 さて、私が丸を付けなかったもののひとつに、第15番「冷房の設定温度は28度、暖房の設定温度は20度程度を目安にします」というのがある。これは、冷房や暖房の設定温度を23度や24度にはしません、ということだろう。こんなアンケート式宣言をさせられるまでもなく、少なくとも今の日本においては、比較的立派なエコ生活者であるはずの我が家には、そもそも冷房装置が存在しない。約40坪の家全体で、大きいとも言えないFF式のストーブが1台あるだけなので、冬に部屋の中が20度に達したことは一度もない。騒音が嫌いなので、余程の寒さでない限りそのストーブを「微弱(燃費は灯油1リットルで約5時間)」で運転している結果として、大抵は13〜15度くらいだ(←強力な断熱パネルのおかげで、むしろ、こんなに高い室温が維持できる、と言った方が正しい)。従って、冷房によって室温を28度にする、暖房で20度まで上げるというのは、我が家にとって、逆に、エネルギー消費を増やすことになる。だから、この第15番は、出来そうにないから宣言しない、というよりは、この宣言を必要とする他の人の家ってすごいな、と思いつつ、考慮の対象から外したのである。

 ところで、経済を大崩壊させてでも、エネルギー消費(=二酸化炭素排出量)を大きく減らさなければいけないという危険思想の持ち主である私は、太陽光発電はエコだ!と喜んでいたりしない。ないよりはあった方がいいかな、と思って付けはしたものの、太陽光パネルの製造・設置にどれくらいの石油が必要だったかが分からないと、太陽光発電のエコ度も信用ならないと思っているからだ。大切なのは、太陽光パネル設置にかかった費用を、発電した電気を売ることでペイすることではなく、太陽光パネルの製造・設置にかかっただけの石油を燃やして得られる電力と比べ、どれだけ多くの電力を太陽光パネルは生み出せるか、である。

 世の中のほとんど全ての物に「値段」が付いているように、目の前に存在するあらゆる物について、どれくらいのエネルギーを消費してそこにあるかを数値化して、明示しておくことは、「エコな気分」になることから脱して、「本当にエコ」な生活をするための第一歩だろうと私は思っている。その上で、各自が消費したものに付いていた数値を、1ヶ月なり1年なりもれなく積算できるシステムを作り、1人当たりに許される量(もちろん、非常に低く設定)を超えた人からは容赦なく罰金を取る、くらいのことはしなければなるまい。