6月15日に楽天の2軍戦(対日本ハム)を見に行ってご機嫌になった話を書いた(→こちら)。その際、「都合が付けば、これから時々2軍の試合には足を運んでもいいな、と思いながら、いい気分で帰ってきた」と結んだ私は、有言実行、8月24日のロッテ戦、9月13日の巨人戦と、今シーズン3回も、子供を連れて利府球場へ足を運んだ。
巨人戦で強く思ったのは、巨人に比べると、楽天は1軍と2軍の選手の入れ替えが本当に頻繁だな、ということであった。これは、メンバー表にどれくらい知っている選手がいるか、という違いである。先発投手の宮国以外はほとんど無名の巨人に対し、楽天は、1番聖沢、2番森山、3番小斎、4番内田、5番ボウカーと、少なくともこの辺までは誰でも知っているような名前が並んでいた。現に、森山と内田、小関(巨人戦では9番)は現在1軍にいる。
おそらく、巨人というチームは、1軍にそれなりのメンバーがいる上、オフには大金を使った補強も行われ、2軍の選手が育つことで1軍に上がり、結果を出してスタメンに入る、という現象が起こりにくいのに対して、楽天は、チームとして未熟であるために、1軍と2軍の実力差が小さく、入れ替えをしやすいのであろう。また、先日、今年ドラフト9位で宮城県内の無名の高校から楽天入りしたルーキー・今野を数日間1軍に上げた時などは、1軍の戦力として必要だというのではなく、何かしらの教育的効果を期待した抜擢であることが見えた。捕手の下妻、内田の1軍入りなども同様である。つまり、1軍、2軍の別というものを、育てるための手段として、本来の役割以上に積極的に利用しようという姿勢が見えるのだ。これは、1人の選手が育つ面白さを可視化すると同時に、2軍の試合そのものも面白くする。一方、巨人の2軍は閉塞感が強いだろうあぁ、と同情してしまう。
さて、その巨人戦で、最も私の目を引いたのが、先発投手の濱矢であった。内野席で横から見ていて、プロの投手の球の良し悪しなど分かるわけがないのだが、やっぱり「すごい!」と思ったのだ。なんでもホンダ鈴鹿からドラフト3位で入団した21歳、期待のルーキーらしいのだが、社会人野球なんて見る機会がない私にとっては、まったく無名の選手だった。この日は、3回まで投げて1安打、1三振、四死球ゼロ、無失点という立派な成績だったにもかかわらず、多くの投手に1回ずつ投げさせるということで降板。20日の西武戦では、先発して5回を投げ、安打、四死球ナシ、1三振、味方のエラーによるランナーが2人出たものの無失点で、その好投が、2軍としては珍しく写真入りで新聞(『河北』)報道された。その記事を見ながら、息子と、「いよいよ濱矢は1軍だ。これは秘密兵器だぞ。今野の1軍とは意味が違う・・・」と言い合っていたところ、数日前に辛島と交代で1軍登録され、我が家ではその初登板を今か今かと待っていた。
そして今日、ようやく濱矢が先発し、つい先ほど勝利投手となった。5回を投げて96球、9安打、3四死球、自責点2は期待外れだし、本人としても満足はしていないだろうが、まずは勝ててよかった。
9月以降の楽天は神がかっている。ソフトバンクにアウェーで4連勝して、「あわや」と期待したところ、昨日ホームで負け、競争相手の3位日本ハムが週末2連勝したので、ゲーム差は5.5。この差を今後逆転するのはまだまだ「奇跡」というレベルだが、夢を見られるのがスポーツのよいところである。島内あたりがかなり失速してブレーキになってきたことでもあるし、また2軍から誰が上がってくるかも含めて、いろいろな期待を込めて見ていることにしよう。