日本は切手の博物館



 二日間、仙台に行っていた。昨日は、東北学院大学で「震災学フォーラム」という研究発表会のようなものが行われた。主催者の一人が、終わったら飲みに行くよ、と誘ってくれたものだから、3年生の授業も終わり、いろいろと融通が利くこともあって、つい、ホイホイと出掛けて行った。日付が変わるまで呑んで、仙台で泊まり。今日は、NIE(Newspaper in education)の総会と研究指定校の成果発表会というものがあったので、河北新報社に行った。終了後、役員の懇親会があって、また呑んだ。始まりが早かったものだから、8時過ぎのバスで石巻に戻って来られたものの、なんだかすっかりくたびれた。酒を呑むと熟睡できないという体質も非常に悪い。

 ところで、河北新報本社の向かいには、仙台中央郵便局がある。河北新報社に行く時、私は時々立ち寄ることにしている。中に、記念切手類専用の売り場があって、おびただしい種類の美しい切手を売っているのである。私は郵便大好き人間で、よく手紙という前近代的な通信手段を利用するのだが、その際、愛想のない普通切手はできるだけ使わず、美しい記念切手類を使うようにしている。

 日本の印刷技術の高さは、正に驚嘆ものだが、それは特に紙幣と切手によく表れている。しかも、私が小学校の頃には、普通切手以外の切手と言えば、「〜○○周年」とか「〜開通記念」といった記念切手が大半で、他には「文通週間」や「趣味週間」「国土緑化」など、多少の特別な切手があっただけである。発行枚数も少なく、発売日には郵便局に行列が出来るほどであったが、今や種類も発行枚数も飛躍的に増え、いつ郵便局に行ってもよりどりみどり、切手を使うために手紙を書きたくなるような状況が生じている。私の母には、「絵手紙」を描くことを趣味にしている友人がいて、年から年中、ほとんど毎日のようにその人から「絵手紙(絵はがき)」が届く。驚くべきことに、手描きの絵が毎日違うのは当然として、切手も毎日違う。1年間に、いったい何種類の切手が発行されているのか知らないけれど、なんだかすごいことだな、と思う。

 手元の82円切手が、はなはだ心細くなっていたので、今日は10枚つづりのシートを3枚買った。「ムーミン」「鉄道シリーズ第3集」「日本の山岳シリーズ第4集」である。いくら私でも、これで半年くらいはもつ。

 そういえば、昔、切手収集は確か「趣味の王様」とか言われて、非常に盛んだった。今はそんな話を全然聞かない。当然だとも思う。これだけ多くの切手が発行されるようになると、もはや集め切ることなんて不可能だ。切手収集趣味の衰退と、多様な切手の発行と、どちらが先かは知らないし、郵政省なりJPなりが、どのような意図で切手の発行種類を増やしたのかも知らないが、多くの種類の切手を発行することが、逆に、収集意欲を減退させ、郵便局にとって利益になるはずの使用されない切手を減少させたとすれば、皮肉なものだな、と思う。ただ、実用品は使用されてこそ価値があるのも確かだ。

 さて、今日買って来た切手で、まずは誰にお手紙を書こうか・・・。