都議選について、昨日の補足である。
私は今回の都議選で、ある人の当落を興味深く見守っていた。それは、大田区で立候補していた自民党の鈴木章浩氏である。
もう憶えている人もあまりいるまいが、この人は3年前に、某女性議員に対してセクハラ的なヤジを飛ばした人である。それ以外にも、尖閣諸島への強行上陸とか、剽窃もどきの視察報告書問題とか、言動には色々と問題の多い人である。議員辞職を求める声も多い中、私は「議員辞職はしない方がいい」という一文を書いた(→こちら)。このヤジは、冗談とかいう問題ではなく、鈴木議員の下品で軽薄な本性が露呈したものだったと私は見ているのだが、それを議員辞職などという方法で一件落着とさせてしまったのでは、選んだ有権者に考えさせることが出来ない。3年経てば選挙があるのだから、責任を鈴木議員に押しつけるのではなく、「民」に問うた方がいい、というのが主旨であった。当時いきり立っていた有権者が、果たして、のど元過ぎれば熱さ忘れる、となるのかならないのか?とくと見極めてやろう、と思っていた。
鈴木議員は今回も立候補した。いくらマスコミを賑わわせたとは言え、都議選は地方選挙なので、ヤジ問題について大田区内でどのような論争があったのかは知らない。鈴木議員は例の事件の後、都議会内の会派「東京都議会自由民主党」を離脱したが、約1年後に復帰している。
さて、結果は・・・、自民党が大敗し、議席を57から23に大きく減らす中、鈴木氏は21,207票を集め、当選者8名中最下位ながらも当選を果たした。とは言え、前回(2013年)は、34,776票を集めてトップ当選だったから、それに比べるとずいぶん落ち込んだ。今回の選挙の方が投票率が高く、総投票数が多いので、前回と今回の差を単純に約13,500と考えてはいけない。実際にはそれ以上の落ち込みがあったと考えるべきである。
実際、前回の大田区の有効投票総数は249,001票で、鈴木氏の得票率は13.95%(立候補者数は13人)、今回は297,133票で、得票率は7.14%(立候補者数は15人)である。得票率の落ち込みは6.81ポイントということになる。今回、票数では前回の61%だが、得票率では51%で、ほぼ半減である。
あの品性下劣を前にして、当選は情けない結果だ。いや、これだけ票を減らしたのだから、有権者もさほどバカではない。いやいや、その後の3年間、鈴木議員も反省し、心入れ替えて立派な議員生活を送った、ということだ。・・・どの意見が正しいのかは知らない。ただ、こんな点にも気を付けておかなければ、ということ。有権者は今回の選択がよかったのかどうか、また今から考えればいい。そうして少しずつ、民意の質は向上するだろう。やっぱり、議員辞職しなくてよかった。