1字の違い

 日曜日に、車で娘と買い出しに出る。我が家から数分、大街道というところを通る時、いつも娘がクスクス笑う。そこには1軒のコインランドリーがあるのだが、名前が「インコ・ランドリー」なのだ。
 おそらくオーナーは、「コイン」と「インコ」が同じ音からできていることに注目し、ユーモアとして順番を多少入れ替え、「インコ・ランドリー」と名付けたに違いなく、鳥のインコとは何の関係もないはずである。
 娘がクスクスと笑う横で、私も思わず笑ってしまう。何度同じ場所を通っても、そのたびに笑ってしまう。不思議だ。
 そんなことを思い出しているうちに、大昔、芸術鑑賞会の時に生徒が書いた作文を思い出した。あまりにも面白かったので、今でも鮮明に憶えている。そこには、「感動した先輩が鳴いているのを見て、私も涙が出てきました」と書いてあった。もちろん、「鳴いている」は「泣いている」の間違いだ。だが、私は初めてこの作文を読んだ時、先輩が「ミーンミーン」もしくは「ホーホケキョ」とでも鳴いていることを想像し、大笑いしてしまった。
 たった1字、もしくは文字の順序だけの違いである。でも、意味はがらりと変わる。これが日本語だけの現象とも思わないが、とにかく言葉は面白いな、と思う。ただそれだけ。