ごみ禍

 おでんの季節である。おでんの種を大量に買って、毎日少しずつ足しながら食べると、飽きることもなく、ほとんど1週間それだけで済んでしまうので、「主夫」である私にとって甚だ好都合。
 昨年までは、近くのスーパーに「おでんバイキング(おでん種のバラ売り)」というのがあって、毎週土曜日が安売り日だったので、もっぱらそれを利用していた。種類も豊富、個数も自由自在なので、セットのようなものよりも便利であった。
 ところがそこへコロナ禍。ホテルの食事でもそうだが、感染予防のためにバイキング形式は止めようということになったらしい。そして新たに始まったのが、2個ずつを一つの小さな発泡スチロールトレイに入れ、ラップをかけて売るという形式である。
 当然のことながら、ゴミが大量に発生する。昨年だったら、ビニール袋2つくらいに入っていた量のおでん種が、数倍の量に変化した。あまりにもかさばるので、自宅に帰るなり、毎朝新聞が入れられてくる薄いビニール袋に入れ替えた。トレイの数は16もあった。どうしてこんなことをする必要があるのだろう?おでんは煮込み料理である。ウィルスが付着していても問題にならないはずだ。練り製品をそのまま食べる人がいるかも知れないというのなら、「加熱用」と札でも立てておけばいいだけの話である。牡蠣でもイカでも、生で食べるのが不都合なものは、そうして売っているではないか。
 コロナ以前から、私は資源消費をどうしたら少なくできるか、特に、石油消費をどうすれば減らせるかばかり考えながら生活している人間なので、ことさらに気になるのであろうが、とにかく、生活ゴミの量の増加が尋常ではないような気がする。しかも、何もかもが過剰な包装で売られているため、私の努力ではどうしても減らせない。コロナ禍はそれに拍車をかけた。私自身は、プラスチックトレイに入った弁当を買うこともまずないので、今回のおでん種が、コロナ禍によるゴミの増加を実感した最大の場面に当たる。
 そもそも、これはコロナと関係ないが、家でおでん種を入れた新聞の袋だって、年に350枚近くになるのである。できるだけ再使用するようにしているが、とても追いつかない。加えて、スーパーでは、既に包装してある商品を更にビニール袋に入れようとする。あまりにも素早いので、断ることに失敗することもしばしばだ。
 こんなに際限なく、しかもためらいなく物を消費していてどうなるのだろう?あ、その結果が今の世界であり、環境の悪化は私の予想通り加速して、まもなく人の世はクラッシュを迎えるのだな・・・。何をおでん種ごときで大げさな、と思うかもしれないが、ことはおでん種ではないのである。