歩くのは楽しい

 今日は、午前中、組合の会議に出席し、午後は仙台フィルの第343回定期演奏会のために泉区(イズミティ21)まで行った。
 会議が終わったのが12時過ぎ。演奏会は3時から。地下鉄に乗ろうかと思って北仙台駅まで行き、地図を見ていたら、歩いて行こうかという気になった。なにしろ開演までだと2時間半はあるし、駅の地図だと泉まで6㎞あまりしかない。私は歩くのが速いので、さっさと歩けば1時間、のんびりでも1時間半あれば着く。仙台の地下鉄は高いので、コーヒー1杯分の節約にもなる。しかも、青空が広がり、予報通りの春の陽気だ。
 歩き始めて小1時間。地下鉄・八乙女駅の手前まで行った時、「←八乙女刑場跡」という小さな看板があって、階段が付いている。こんな所に刑場があったとは知らなかった。いつのものかも分からないが、せっかくだから寄り道をすることにした。
 二十段ほどの小さな階段を上ると道路があり、それを渡ったところが刑場跡であった。こちらの説明書き看板には「仙台藩刑場跡」と書かれている。1690年から江戸時代の終わりまで、約180年にわたって処刑が行われた場所らしい。斬首、磔、火あぶりなどの方法で、5300~7000人の人が処刑されたと書いてある。仙台藩の牢は市街地のほぼ中心、片平町にあった。おそらく当時は市街地から遠く離れた片田舎であったに違いないここに、死罪と決まった人たちが、ほとんど半日がかりで連れて来られたのだろう。刑場に引かれてくる時の罪人たちの気持ちを思うと、胸が痛む。住宅1戸分ほどのスペースに、供養塔やら石の地蔵様などが置かれている。すぐ隣、刑場に面して民家が建っているのには少しびっくり。いくら開けた明るい場所だとは言っても・・・である。
 近くに「肩掛山→」の看板を見つけた。肩掛山にどんな特徴や由緒来歴があるかは知らないが、「150m」と書かれているので、それくらいの距離なら寄り道してみた方がいいな、と思い、更に足を伸ばした。車道を100mほど行くと、右手に階段があり、「山」らしき場所に伸びている。わけもなく頂上に着いた。四阿があり、少し刈り払いがしてあって、多少の見晴らしが得られる。やはり立っている看板によれば、1911年に大正天皇(当時は皇太子)が陸軍第二師団の演習を、この山からご覧になったのだとか。不思議なことに、どこを探しても「山」に付きものの標高が書かれていない。帰宅後に探したネット情報では、GPS測定で54mというものがあったが、Yahoo地図で測ると42mしかない???
 ともかく、これらは地下鉄や車で移動していたのでは絶対に目に入らない場所だ。歩くって面白いなぁ、いつも思うことなのだけれど、今日も歩いてよかった。
 地下鉄の終点・泉中央駅に着くと喫茶店に入り、私は節約したお金でコーヒーを飲みながらゆったりとした気分で本を読むと、地下道でつながっている演奏会場へと向かった。