1億5千万円の不思議

 22日だったか、河合元法務大臣夫妻の選挙資金として自民党が交付した1億5千万円は、買収の原資に使われていないという発表があった。自民党本部による公式発表である。発表の直後から、いろいろと問題が指摘されている。何しろ、河合氏自身による調査結果をそのまま鵜呑みにして発表したのだから、自民党のふがいなさも含めて批判されるのは当然である。
 1億5千万円というのは、一般庶民の生涯賃金に迫る大金である。その使途が、機関紙や政策チラシの印刷代というのはいかにも不自然だ。全国区ならともかく、確か、選挙にかかる費用を安く抑えることも理由として実現させた小選挙区制である。しかも、自民党公認の候補者全員に1億5千万円が交付されたならまだしも、河合氏に交付された金額は他候補の10倍とも言うではないか。
 更に、私が見逃していただけかも知れないが、不思議とマスコミが指摘しない重要な問題がある。いわば「玉突き」現象だ。
 とりあえず、1億5千万円は、河合氏が言うとおり紙類の印刷に使ったとしよう。しかし、それらは1億5千万円という尋常ならざる交付金がなくても、政治活動のためには必要なものだったようにも思う。だとすれば、本来、それらのために使うべきお金が買収に使われ、党からの交付金は紙類印刷に使われたことになる。つまり、交付金→紙類印刷、紙類印刷に使うはずだったお金(出所不知)→買収で「玉突き」である。間に一手間入れば、党からの交付金が買収資金になったことにはならないのだろうか?これが「なる」か「ならない」かはお金の出所次第だが、おそらくは「なる」。あくまでも私の感覚だが・・・。
 本当に姑息な、子供だましのような言い訳を止めてくれないかなぁ。政治不信と言うよりは、人間不信になりそうだ。