愛かお金か?

(10月27日「学年主任だより№23」より①)


 日曜日の朝、一番に起きた息子が庭を見て「猫かな」と言う。珍しくもなんともない。ただ、その声に誘われて起き出し、庭を見ると、その瞬間、ウッドデッキのところから耳だけ見えていた動物が勢いよく飛び出した。「狐だ!!」我が家は大騒ぎ。立派な尻尾を持ち、ぴょんぴょんと飛び跳ねながら走って行く様子が、いかにも野生的で格好いい。
 年に2~3度、我が家の庭には狐や狸が現れる。見ると安心する。震災復興と称して、大規模土木工事が続く我が家の周りに、まだ、彼らの生きていける環境があると分かるからだ。人間は自然の一部、自然に守られながらしか生きていけない。


裏面:10月16日付け朝日新聞土曜版「be」より「愛とお金、大事だと思うのはどちら?」を貼り付け。
平居コメント:「be」には、毎週必ずこのような二者択一の読者アンケートが掲載される。普通科恩田陸「骰子の七の目」でやったとおり(→こちら=2年前の記事だが、今年も授業で扱った)、いろいろなことを考える際、何もかも二者択一にしてしまうのは問題がある。様々に想定される中間的な答えや、答えを導くための条件を一切無視して、どちらかを選ぶというのは、確かに「思考停止」だ。それでも、テーマによっては二者択一も悪くないし、考えるための一つの方法として便宜的に用いるというのも「あり」だ。
 さて、毎週目を通しているこのコーナーだが、今回ほど結果に驚いたことはなかった。愛とお金、ほぼ半々(51%:49%)。私が事前に予測しろと言われたら、「愛」が圧倒的に多いと考えただろう。私なんかは、愛があればお金がないことの苦しみには耐えられる、愛がなければお金がいくらあっても心が満たされない、だから愛の方により価値がある、と考えるのだが・・・諸君はどうだろうか?