体験者の迫力・・・薬物防止教室感想より

(10月27日「学年主任だより№23」より②)


【体験者の迫力!!・・・保健講話の復習】

(ブログ用解説:今回の講師は薬物等依存症の更生施設「仙台DARC」代表・飯室勉氏。ご自身が薬物中毒で刑務所にも入り、DARCのプログラムで立ち直ったという経歴を持つ。最初の10分くらいこそマイクを使っていたが、やがてマイクを机上に置き、地声で話をされた。会場は広い体育館である。)

 いつもの講話とまったく違う雰囲気に驚いた諸君が多かったようだ。私も同様、自ら薬物中毒の経験を持つ方の話は迫力と説得力が違うと感じた。
 さて、諸君の感想の中から、復習を兼ねていくつか紹介しておこう。

〈自分が薬物を体験しているからこそ、今の活動や生活の中で起こってしまう事件に対して、子供達や依存してしまう人々に優しく接してあげられるんだろうな、と思いました。この講話がなかったら、薬物に手を出してしまう人の気持ちや、誘いを断れないことが全く理解できなかったと思います。それぞれの話の中で、聞いているのも辛いような内容もあり、誰にも助けを求められなくて、本人達もとてもしんどかったのだろうと思いました。貴重な話が聞けて本当に良かったです。〉

〈初めて薬物依存経験者の方から話を聞きました。経験者本人から聞く話は、やっぱり重みが違うなと思い、メモも忘れて聞いていました。先生の「心の中に秘密や悩みがあるなら、それは健康だ」という言葉がとても心に響きました。薬物を使ってしまったら、悩みなど全て忘れるくらい気分が高まる代わりに、依存して抜け出せなくなるので、気をつけて生きていこうと思います。〉

〈今の世の中は、薬物に限らず、犯罪を犯した者に対してあまりにも冷たいと思います。過程を見ず、自分の見たい結果だけを見て騒ぎ立てる世間、これ見よがしにさらし者にするメディア、何も知らないのに好き勝手言う有識者とかいう奴ら。今回話の途中で言っていた「芸能人とか捕まると土下座しているだろう?そんなんで治るなら~」というのにすごく共感しました。あれは反省して申し訳ないというより、世間体を気にして一応謝っておこうと思っているようにしか私には思えません。本当に助けて欲しい人、見付けて欲しい人、そんな人たちを優しくそして厳しく支えることができる世の中になって欲しいと思っています。〉

〈ニュースなどで、薬物を使用した人を見た時、「追い詰められていたんだろうな」「可哀想だな」と思ったことがあります。しかし、薬物使用者に対する社会の措置、退学や退社などの社会のあり方について疑問を持ったことがありませんでした。「薬物を使用してしまったのだから仕方がない」とどこかで納得していた部分があったのだと思います。しかし、そういった社会のあり方は、追い詰められた人を更に追い詰めるものであり、薬物をなくすことには全く繋がっていないことに気づけました。今のこの社会のあり方が、もっと居場所を作ってあげられるものに変わっていけば良いなと思います。〉

〈小さな悩み事でも誰かに相談したり、できるということはとても大切なことだと思いました。LINEはとても便利なものだけど、大事なことは直接話し合うべきだと思ったし、これからどんなに機械が発達してきても、SNSを通してだけではなく、直接人との関わりを大切にしたいです。自分が言えないことや言いたくないことを受け入れてくれる場所に、いつでも行ける環境も大切だと思いました。優しさとは何なのか、自分が相手にしたことが本当に相手にとっての優しさなのか、考えたいと思いました。〉

〈人には打ち明けられないネガティブな感情を風船と例えられていて分かりやすいなと思いました。風船に空気の許容量があるように人の心にも我慢の限界があり、苦しい状況から一時的にでも逃げたいという気持ちから、ギャンブルや薬などに逃げて依存症になるという負の連鎖に繋がっているということが分かりました。一人で抱え込むにも限界があるため、信頼できる友達に相談することも大切だということ。そのような友達ができるように頑張っていきたいとも思いました。〉

 

10月31日(日)は選挙・・・薬物の講話を聞いて社会の問題に気付いた諸君は多かったようだ。社会がゆがむと、必ず弱者にしわ寄せが行く。社会が温かいものになるも冷たいものになるも、最初の一歩は選挙だよ。