学期の途中に伊勢

 この3日間、学期の途中だというのに伊勢に行っていた。もちろん、と言うべきか、遊びではなく、用事があってである。
 5月10日に、伯父が95歳で亡くなった。私の父の兄である。15年ほど前に死んだ私の父は、三重県南伊勢町五ヶ所浦の青龍寺という臨済宗妙心寺派の小さなお寺の生まれである。当然、伯父はそのお寺を継いでいた。僧侶である。何しろ檀家が100軒ほどしかない(と、昔聞いた記憶がある)貧乏寺である。若い頃は地元の高校の教頭を兼任していた。
 僧侶が死んだ時のお葬式は仰々しい。伯父も、密葬を死の直後に行った上で、「津葬(しんそう)」と呼ばれる正式な葬儀を、死後1ヶ月以上経った昨日行った。私が伊勢に行った理由はそれだ。
 祖父母の葬式は、どちらも私が教員になって間もない頃で、多忙を極めていたこともあって行っていない。遠隔地に住んでいた都合で、なかなか五ヶ所に行く機会もなく、祖父母に対する親しみもさほど強くはなく、いとこと遊んだ経験なども皆無と言ってよいほどなので、無理して行かなくてもいいや、と思ってしまったのである。両親からは、ずいぶんと文句を言われた。
 だから今回は、という思いもあり、今後は五ヶ所を訪ねる機会が更に減るだろう、ということもあり、私の母(父の妻)が老齢により行けないから、代わりに行ってくれと頼むこともあり、都合を付けて一人で行くことにしたのである。
 何しろ遠い。伊勢神宮から更にバスで1時間。山を越えてようやく着く。そこで、せっかく行くのだから少しは遊ぼう、という思いもあって、次のように動いた。

【16日】石巻9:04--(JR仙台乗り換え)-ー10:57仙台空港12:30--(IBEX22便)--13:40中部国際空港14:07--(名鉄ミュースカイ)--14:35名古屋14:50--(近鉄特急)--16:10伊勢市
【17日】伊勢市7:43--(三重交通バス)--8:29五ヶ所14:38--(同前)--15:26伊勢市15:54--(近鉄特急)--17:18名古屋
【18日】名古屋==(友人の車)==熱田神宮==名古屋港(ふじ)==常滑13:51--(名鉄)--13:58中部国際空港14:50--(IBEX23便)--15:55仙台空港16:28--(JR仙台乗り換え)--18:13石巻

 私としては珍しく、たかだか名古屋まで行くのに飛行機を利用した。これはできるだけ資源を使わないという思想信条に反する一種の失敗なのだが、非日常を楽しむという点ではよかった。例外として許してもらうことにしよう。
 16日、石巻は土砂降りだった。列車が止まるのではないかと心配し、1本早い快速に乗った。しかも、私は初めて、自宅から駅までタクシーを利用した。それくらい猛烈な雨だったのである。列車は、高城町~塩釜で極端な徐行運転を行い、仙台に25分遅れて着いた。この後、仙石線は不通になったらしいから、非常にきわどく、適切な判断をしたということになる。仙台空港石巻に比べれば小降りで、飛行機は定時運航していた。着いた名古屋は青空が広がっていた。
 伊勢市では、水産高校時代に付き合いのあった某船会社の若社長と飲みに行った。普通は、仕事の上で付き合いがあった人と、その後飲みに行ったりはしない。爽やかな人柄に惹かれていたのと、私が伊勢に縁があったということとで、なんとなく誘うことが許される状況があったのである。珍しい人間関係だ。
 17日は名古屋で、友人と、また別の友人の家族と夕食をともにし、その後、友人2人と飲みに行った。そして今日は、夕食メンバーで熱田神宮に行き、友人の1人と名古屋港に係留して博物館になっている南極観測船「ふじ」を見に行った。その後、食事がてら常滑まで送ってもらい、そこから自力で帰ってきた。べったりと湿度が高くて暑かった。もっとも、仙台周辺でも積乱雲が発達して局地的な雨が降っていた上、31.9℃まで上がったというから、名古屋だけが暑かったわけではない。
 今日は単純な事実報告のみ。また明日。