スマホがあれば・・・?

(2023年11月9日付け「担任のお話」№25より①)


 4連休もあっという間に終わってしまった。私は、高文連東部支部の総合文化祭などもあって、決して本当の4連休ではなく、あわただしい4日間を過ごした。その間、なんと言っても私個人にとってのメインイベントは、「さよならほやマン」の封切りであった。私は監督、出演者の舞台あいさつに合わせて、4日の12:10にイオンシネマ石巻に見に行った。
 かつての生徒が監督を務めた映画だということを別にしても、すばらしい映画だと思った。「あぁ、これで私はウソつきと言われずに済む」という安心感も大きかった。めったにないことなのだが、途中で二度ほど目頭が熱くなった。筋書きとしてはずいぶん突飛で不自然な部分も多いのに、なぜこれほど心動かされるのだろうと思った。おそらくそこには、今の世の中でどんどん少なくなっている人間と人間との真剣なぶつかり合いがあったのだ。
 最近、教員という職業は「ブラック」であるとの評価が確立し(笑)、なり手不足も心配、というより各地で現実化しているとは聞くけれども、卒業生の中からこういう立派な仕事をする人間が生まれてくる喜びというのは、やはり教員でなければなかなか味わえないよな、と思った。
 別に映画監督やスポーツ選手といった華やかな職業である必要は全然ない。諸君も、それぞれの分野で一流を目指せばいい。なにしろ、諸君の目標は「世界に羽ばたく技術を」だからね(憶えてるのかな?=笑)。


【読書週間・・・3分の2がゼロの驚異!】

 もはや先々週の話となるが、読書週間があった。図書委員がせっせと企画をしてくれたので、本を手に取るよいきっかけにはなったと思うが、読書週間にちょっと本を読んだだけで何かが変わるわけではない。あくまでも一つの「きっかけ」。
 図書委員が校内放送の中で、「戦後、日本は世界有数の本を読む国になった」と言っていたけど、それは本当なのかな?先月13日に公表された昨年の文部科学省調査によれば、2001年生まれの若者(21歳)で、1ヶ月に1冊も紙の本を読まない人は62.3%だそうである。ほぼ3人に2人だ。
 好奇心、向学心があれば、本を読まないことはとても難しい。本を読まない人が3分の2もいるということは、日本の若者がそれらを失ってしまっている、ということではないのかどうか・・・。スマホがあれば紙の本はいらない?本当かな?スマホの画面を見ながら意見文が書けるかどうか試してみると、その違いはよく分かると思うよ。


(裏面)
① 10月17日付け毎日新聞より「当たり前のことを当たり前にやれ  虎の哲学 連なり始める」を貼り付け。
平居コメント:祝阪神優勝!!・・・って、私は別にファンではないのだけれど・・・。「当たり前」とは基本のこと。基本は常に大切で、特に一流のアスリートは必ず言うよね、という話は、オリエンテーションのときにした通り。
② 10月25日付け河北新報メモリアル欄より「『布川事件』再審無罪 桜井昌司さん 続く苦難 前向く力に」を貼り付け。
平居コメント:「冤罪」って何?という話と、人は逆境に在ってどのように生きるべきか、という問題。「冤罪」については、今、「袴田事件」の再審が話題になっている。警察・検察といえども、人間がすることである以上、常に間違いはあり得る(何でも脳天気に信じるのは禁物ということ)。やはり「疑う」というのは大切なことなのだよ。