石田組!!!!!

 一昨日発行した「担任のお話」の紹介が、なぜ昨日になってしまったかというと、一昨日は1時間だけ学校を早退し、仙台まで「石田組」の演奏を聴きに行っていたからである。
 石田組は、今更説明の必要もないだろう。バイオリニスト石田泰尚(組長)率いる少人数の弦楽合奏団である。ものすごい人気らしい。今回だって、新聞に広告が出たのは、チケット発売開始直前の1回だけだったと思う。おそらく、すぐに完売したのだ。
 私は、組長の演奏に2度接したことがある(→1回目の記事、 2回目の記事)。1回目に聞いた時は知らないバイオリニストだった。それが衝撃を受けた。今やかなり熱心なファンである。石田組の演奏も聴いてみたと思いつつ、3年半前の仙台公演がコロナで中止になったので、今回、念願かなって・・・ということだ。
 一昨日の演奏会は、組長を含めて10人だった。石田組は、各地のオーケストラの首席奏者など、重要な地位にある人たちがメンバーであり、常設の合奏団ではない。一昨日のステージトークによれば、今まで石田組として演奏に参加したことのある演奏家は100人を越すらしい。それだけの人が入れ替わり立ち替わり関わっていながら、「石田組」という一つの集団としてぶれることのない音楽を作り、評価を得ているのは、とりもなおさず、石田泰尚という圧倒的な演奏能力、カリスマ性、エンターテイナーとしての素質を持つリーダーがいるからである。私は驚嘆する。
 さて、今回のプログラムは次の通り。
(前半)
シベリウス「アンダンテ・フェスティーボ」
モーツァルト「アイネ・ムライネ・ナハト・ムジーク」
ホルストセントポール組曲
(後半)
・バーバー「弦楽のためのアダージョ
・シルヴェストリ「バック・トゥ・ザ・フューチャー
モリコーネニュー・シネマ・パラダイス
ローリング・ストーンズ「悲しみのアンジー
レッド・ツェッペリン「天国への階段」
・クイーン「輝ける7つの海」
キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」

 前半は、上手いとはいっても普通のプロアンサンブルだな、と思いながら聴いていた。わずか30分で終了し、20分もの休憩に入る。
 後半も前半の延長といった感じ・・・だったのだが、バーバーが終わったところで、組長がマイクを持つと会場の雰囲気を始め、全てが一変した。メンバー紹介が、エンターテインメントとして実に上手い。一言一言で会場がどよめき、拍手が起こり、盛り上がっていく。曲はポピュラーに変わる。
 前回、5曲のアンコールを演奏したことからして、今回も1~2曲では済まないだろう、果たしてキング・クリムゾンの後に何を演奏するだろうか?組長お得意のピアソラは入るだろう・・・などと私は演奏会の前から楽しみにしていたのだが、意表を突いて、アンコール1曲目は組長の音の美しさを見せつける「シンドラーのリスト」(サウンドトラックのパールマンよりきれい!)、2曲目はビゼーアルルの女」からファランドール。これはこれで盛り上がったのだが、次は、組長がアッと驚く金のズボンに虹色のジャケットで登場。始まったのは「津軽海峡冬景色」である。しかも、前奏が終わる頃に虹色のジャケットを脱ぎ捨てると、内側に金のジャケットを着ていて、全身が金に変身。そしてバイオリンをマイクに持ち替えて歌い始めた。1番を最後まで歌いきると、2番はバイオリン。そして2番が終わってさびの反復部分で、会場に背を向け、頭上で手を振りながら再び歌。「さよならあなた 私は帰ります 風の音が胸を揺する 泣けとばかりに あ~あ~、津軽海峡冬景色」。途中、組長を除く4人のヴァイオリニストが、ステージを歩き回りながら少しきしんだ不思議な音を出すのだが、これがまた本当にカモメ!会場の盛り上がりは尋常ではない。歌詞からしても、これでおしまいだな、と思っていたら、今度は石田組のTシャツ、裸足でまたもやステージに現れ、オアシスの「ホワット・エヴァー」。聴衆はスタンディングオベーション。これでお開きとなった。
 エンタメとして、実によくツボを押さえているのであるが、ただのエンタメではない。とにかく組長を筆頭として、みんな上手い。そんな圧倒的な実力があってこそ、お遊びが楽しいのである。
 後半が始まったのはまだ8時前だったのに、終われば9時を10分ほど過ぎていた。