週末は遠来の客があって、接待に忙しくしていた。またしてもドイツ人で、6月に来た若夫婦(→こちら)の妹夫婦(妻B=24歳、夫D=28歳)である。日本語はほぼまったくできず、しかも頭の痛いことに、またしてもビーガンである。
「9月に日本に旅行に行くから、ぜひ平居さんに会いたい」とメールが来たのが、6月上旬のことであった。もちろん、わざわざ私に会いたいと言って、限られた日本滞在日程の合間を縫って、わざわざ石巻まで来てくれるわけだから、歓迎しないわけがない。東日本大震災の前の年、2010年に家族全員で来て以来だが、毎年クリスマスに写真を送ってくれていたので、成長ぶりと近況についてはある程度分かっていた。Dと会うのは今回が初めて。ともかく、日程調整の結果、9月25日の夕方から27日まで、我が家に滞在することになった。
今年は私が通勤に要する時間が飛躍的に長くなったので、さすがに、昨年までのように300日以上3食私が準備するという状況ではなくなった。そこで、食事については妻とともに頭を悩ませることになった。姉夫婦と同様、妻はビーガン(卵も牛乳もダメという最高レベル)だが、夫は何でも食べるらしい。様々な食材や調味料類をチェックしながら、どれが使えるものか考えていると、あまりの面倒くささにだんだん腹が立ってきた。ビーガンと言えば、いかにも高邁な思想に支えられた食文化のようだが、ただの「偏食の親分」のように思われてきたのだ。
今後のために、メニューを記録しておくことにしよう。
9月25日(金)
夜:天ぷら(しいたけ、サツマイモ、ピーマン、なす、かぼちゃ)、切り干し大根(弁当用に5連休最終日に作ったもの。いつも切り干し大根には竹輪の刻んだものを入れるのだが、今回はビーガン対策として揚げを使用)、エノキダケとなめこの佃煮、お葛かけ(昆布だし)
9月26日(土)
朝:自家製パン、ジャム(自家製リンゴジャム、友人が作ったラズベリージャム、あんこ)とマーガリン、サラダ(レタス、きゅうり、ミニトマト)、スライスチーズ(B除く)、紅茶
昼:コンビニで各自購入(Bは稲荷寿司と塩むすびを買っていた)
夜:厚揚げ(焼いたものに大根おろしと刻みネギ)、なすの素焼き、かぼちゃの煮物、みそ汁(大根+揚げ、昆布だし)、Dはうなぎのかば焼き、Bは納豆(刻みネギ入り)、エノキダケとなめこの佃煮
9月27日(日)
朝:前日と同じ、ただしB以外はコーヒー
昼:丸亀製麺でうどん、Bは素うどんに醤油、ネギ、かき揚げ天
と苦心惨憺、こんな感じ。
姉が新婚旅行の時にも案内したので、妹夫婦についても、土曜日は平泉に連れて行くことにした。帰宅後、姉夫婦と話が合うでしょ?というわけだ。金曜日の夜に、ビデオ(Nスペ「世界遺産平泉 金色堂の謎を追う」英語吹替、字幕あり)を予習として見せ、朝8時半に出発した。少し雨が降っている。
登米の高等尋常小学校(すばらしい!1888年竣工、国重文)に寄り道をする。見物している間に雨が上がった。高速道路を使わず、国道342号線と4号線を通って中尊寺に着いたのは11時。北上したおかげもあって、雲の合間から青空の見えるいい天気になってきた。雨上がりの参道は、まるで新緑の森を歩いているような雰囲気。金色堂から白山神社の能舞台までゆっくりと見物して、駐車場に下りたのが12時半であった。
毛越寺はよほどの知識と思い入れがなければ面白くないので省略して、達谷窟(たっこくのいわや)毘沙門堂に行く。大きな岩壁に懸崖造りの達谷窟はなかなかのインパクトだ。そして最後は厳美渓。姉夫婦が来た時は、大雨で増水が激しく、道路から岩の部分に立ち入ることもできなかったが、今回は大丈夫。「かっこうだんご」(川の対岸からケーブルにぶら下げたかごを使ってお金と団子の受け渡しをするシステムが人気)も営業していた。いつもいつものことながら、私はそこで出るごみ(団子の入った箱)があまりにも大量であるのを見て具合が悪くなってきた。復路は東北自動車道を金成まで走り、若柳、佐沼経由で三陸自動車道を通って石巻に戻った。帰宅したら16時過ぎだった。
日曜日は彼らが私の母に会いたいと言うので、松島(大仰寺・富山観音)経由で仙台市郊外の老人介護施設に行った。人手が足りないからということで、通常、週末の面会は受け付けてもらえないのだが、なにしろ母(89歳)の人生では二度とない面会のチャンスである。1ヶ月ほど前、事情を話して、特別に許可をもらっての訪問だった。その後、仙台駅まで行き、16時前に新幹線改札口で見送った。
やっぱりビーガンは困る。日頃ほとんど機会のない英語生活もとても疲れる。しかし、本当に気持ちのいい若者たちだったおかげで、それらの苦しみを上回る楽しい2日間を過ごせた。いつもニコニコ穏やかで、話題も豊富。そもそも、話の通じない私の母に、わざわざ会いたいと言ってくれるあたりに人間性が表れている。その母と接する時の気配りや、態度もいかにも温かい。妻も母も、二人を本当に「かわいい、かわいい」と絶賛していた。私も仕事柄、素敵な若者はたくさん知っているつもりだが、この二人、いや姉夫婦も含めて4人は別格だ。結局、大切なのは人間性なんだよな。そんな当たり前のことを感じ続けた2日間でもあった。
昨日は18時前には帰宅したのだが、疲れ果ててこんな作文を書くことさえできず、バタンキューであった。彼らは東京見物をして、今週土曜日に帰国予定。