頭に「遊び」を作る(金研を見て)



 先週の土曜日、小雨の降る中、5人の諸君と東北大学金属材料研究所(金研)の一般公開に行った。11時半近くに着いて、私と3年生1名は、途中20分余りの昼食休憩を挟んだが、2年生諸君は昼食さえ取らずに、日のとっぷりと暮れた5時までひたすら見学していたのだから熱心である。それでも、回れたのは全体の四分の一くらいだっただろう。大規模実験施設が見られなかったとか、パネルやVTRによる説明が多かったのが少し残念だったが、それでも、スーパーコンピューターや超高圧発生装置、イオンビーム発射管、プラズマ溶射装置等、日頃なかなかお目にかかれない物を見られたし、様々な理論に触れることが出来たのは収穫だったと思う。

 「自分の専門分野で成功するためには、遊びが必要だ」という話を聞いたことがある。「遊び」とは専門外の領域に関する知識や好奇心のことだ。要するに、専門バカは大成しない。今回はたまたま工学部進学を希望する諸君だけが行った訳だが、その中には、材料工学以外の専攻希望者もいた。将来、自分の専門に行き詰まった時に、そういえばあの時見たアレは・・・と新しい発想に結びついてこないとも限らない。今後、更に多くの人に、様々な所へ足を向け、頭に「遊び」を作っていって欲しいものだと思う。金研のある研究室でタンパク質の研究をしていた、ということを聞いて、諸君はどう思うだろうか?