大きく育て!



 運動祭が終わった。今年は怪我人が少なかった(二桁の半ば)ようだ。今年は、引っ張り合いではなく、ぶつかり合いが多く、昨年よりも迫力あるプレーが多かったような気がする。それでいて怪我人が少なく、また軽傷だった(脱臼まで)というのは結構なことである。

 一高の運動祭を見たいので休日開催にして欲しいと言う声は、昔から相当あるらしい。それが実現しないのは、伝統だとか、教員が土日は仕事をしたくないと言うから、ということではない。かつて一度休日開催にしたことはあるのだが、急患が相次いで、近所の整形外科が音を上げたため、平日開催に戻した、ということだそうである。本当かどうかは知らない。本当であれば、恐るべし一高。

 それでも、学校行事で怪我人が出る、ましてそれが前提になっているというのはケシカランと考える人は多いかも知れない。しかし、保護者からの苦情は皆無だというから、まずそれが私には立派だと思える。またこの程度の怪我は、諸君が逞しく育っていくためのリスクとして仕方のないものであり、今のレベルなら許容範囲であろう、と私は思う。そして何より、どの程度のことまでならしても構わないか、という生徒の良識・判断力と、それに対する教員の信頼と親の寛容が、絶妙なバランスで成り立っていることに感動を覚えるのである。

 ちょっとしたことで、すぐにマスコミが大騒ぎをし、学校の責任を追及する声があがる世知辛い世の中であるが、この美風はぜひ守って欲しいし、その中で、諸君には大きく育って欲しいと思う。