私と北朝鮮・・・!?



 首相訪朝以来、北朝鮮についての報道がとても騒々しい。北朝鮮は、「拉致」などという全くけしからんことをしたのだから、非難の声が出て来ることも、国交正常化交渉反対の意見の出て来ることも無理のないことであるが、在日朝鮮人に対する嫌がらせも増えている、などという話を聞くと、その浅はかさに哀しい気分にさせられてしまう。国家の責任は国民の責任などと常に考えられたのでは、常々政府のやることにグチをこぼしている私なぞはたまらない。まして、在日朝鮮人の多くは、戦前、日本人(軍)によって強制的に連れて来られ、やむを得ずそのまま日本に住むことになってしまった人達であって、拉致や不審船に関わりなどあろうはずもないのである。

 ところで、私は、日本人としては珍しいほど(?)在日の北朝鮮人との付き合いの多い人間である。東京にある朝鮮大学校の創立40周年記念式典にご招待いただいたこともある。朝鮮人学校の生徒がまだ高体連の大会にも出られなかった10年余り前、仙台の朝鮮高級学校と県内の日本人高校生との交流会を、3回ばかり主催した縁である。

 当時、朝鮮人学校の生徒は暴力的で恐いと言われていた。八木山の奥にある朝鮮人学校に一人で初めて行った時、私は、ちょっとした失言でもあれば外交問題になるのではないか、帰してもらえなくなるのではないかと、強い不安と恐怖のためガチガチに緊張して行ったのを憶えている。ちょうど夕方、暗くなる頃であった。

 ところが、訪ねた朝鮮人学校は、予想に全く反して素晴らしい所だった。生徒も先生も、純朴で明るく、自由で生き生きとしていて、礼儀正しかった。昭和30年前後の日本の高校ってこんな所だったのではないか、と思った。私は朝鮮人学校が大好きになってしまった。もちろん、不愉快な思いをしたことなんか一度もない。なぜ、彼らに関して「恐い」などという噂が広まっていたのか、私には皆目見当がつかない。噂を鵜呑みにしてはいけない、自分で実際に見聞きしたことに基づいてのみ評価は下さなければならない、そんなことを強く思い知らされた次第である。

 仙台の朝鮮人学校にも久しく行っていないが、今回の様々な北朝鮮に関する動きの中で、先生も生徒も嫌な思いをしていないといいなぁ・・・テレビや新聞を見ながら、よくそう思う。