持つから欲がでる



 予告通り引っ越しをした。快晴という絶好のコンディションにも助けられ、午前中に無事終了した。先週も書いたが、とにかく物の多さに呆れ果てた。中でも、種々「お祝い」「お返し」というものは、正にたまりにたまったという感じである。私は、物を交換することによって心の交流が生まれ、保たれるということはある、と思うので、それを一概に否定したりはしないが、何しろ今時、人からもらわなくても、必要な物などほぼ存在しないので、こうして使わない物を際限なくやりとりすることの是非については、つい考え込んでしまった。もっとも、押し入れから湧いてくる物はそれに止まらない。

 私が物を沢山持つことがよくないと思う理由は三つ。一つは環境破壊につながるということ。もう一つは、いつも言っている「便利と快適は人間をダメにする」というもの。そしてもう一つ、これが重要なのだが、人間は欲深いから物(金も同じ)を持ちたがるのではなく、物を持つから欲が深くなる、と思うからだ。これは個人についてだけではなく、大は国家に至るまで、集団についても言えることである。政財界の大物達の汚職や、アメリカという国の行動を見ていると、人間は持てば持つほど、もっと欲しくなる生き物であるような気がしてならない。自戒せねば。