作ったのは「大工さん」



 ご存知の通り、目下、石巻の自宅を改築中である。打ち合わせの必要なこともしばしばあり、又そうでなくても、何となく気になるのと、単純に「建築工事」というものに興味を感じるのとで、暇を見つけてはせっせと石巻の現場に足を運んでいる。そして、大工さんの技術というものに感心し、或いは、こんなものがあるといいなぁと思った物は大抵あるという、日本の工業製品の多様性と優秀性に心底感服している。工業製品はともかくとしても、大工さんという生身の人間が、極めて素早く正確に、美しく様々な物を作り上げていくのを見ると、彼らに対する尊敬の念と共に、物を作るのは楽しそうだ、という羨望がわき起こってくるのを禁じ得ない。今更、進路変更できないのがつらいところだ(笑)。

 各地を旅行して、いわゆる歴史的建造物を見ると、聖徳太子が作ったとか、ウィルヘルム2世が作ったとか説明されることが多いが、有名な「なぞなぞ」にある通り、やはり作ったのは大工さんのような現場の技術者達なのだ。そんなことをしみじみと思う。