しわ寄せは弱い人に・・・バリ島のテロ



 2学期早々、暗い話であるが、またバリ島でテロがあったそうだ。諸君もTVのニュースその他で既に知っていることと思う。大抵の報道の中で触れられていた通り、バリ島では3年前にもナイトクラブで爆破テロがあり、今回の10倍近い200人以上の死者が出たことがあった。

 実は私は、その翌年、1週間ばかりバリ島の、しかも3年前も今回も事件のあった「クタ」という所に行った(諸君は、私がしょっちゅうそうしてフラフラとあちこちに出現していると思っているかもしれないが、それは誤解。高校教員も年々多忙化がひどくて、時間をとるというのは困難なのである。この時はたまたま・・・)。前年事件のあったナイトクラブの跡地にはたくさんの花束や寄せ書きが積み上げられていた。そして何よりも、混んでいるはずの時期に、バリ島全体が閑散としていたのが印象的だった。テロによる経済的マイナス効果は絶大である。

 「あそこは危ない」という評判は、これほど影響力が大きい。そして、そのダメージを受けたのは、直接被害にあった、ごく少数の外国人を別にすれば、日々まじめに働き質素な生活をしてきた地元の人達だ。テロリストが標的にしたい裕福で利己的な外国人は行き先を変えただけである。

 今回のテロで、またバリ島を訪れる外国人は激減し、厳しい地元の人々の生活が脅かされるのだろう。自分達の行動の影響がどのように、どこ及んでゆくのか想像力を働かせ、弱い立場の人達を苦しめないということは、政治家のみならず、テロリストにも考えて欲しいものだ。