手書きプリントへの壁



 思えばずいぶん長い間、少なくとも担任をしている年は、このようなプリントを書き続けている。役に立っているかどうかは知らない。ただ、出さないと文句は出るようだ。

 保護者の方から最もよく言われるのは、不思議なことに「手書き」を維持して欲しいということだ(こんなに幼く、下手な字なのに!)。もちろん、パソコンで作っても手書きでも、内容は絶対に変らない(パソコンで作った方が、推敲しやすい分、ミスは減るに違いない)のに、「手書き」への要望が強いということは、「伝達」ということが、表面上の内容以外に、いかに多くのものを含むかということを物語っていて面白い。

これは言うまでもなく「時代後れ」に属する。この一高でも、聞くところによれば、手書き用のファックス原稿用紙なるものを必要としているのは、遂に私一人らしい。そんな私の手元で、先月の初めにファックス原稿用紙が底をついた。早速、事務室に「3ミリ方眼のファックス原紙を買って・・・」と言ったところ、「そんなものまだ売ってるかなぁ」と言いながらも、注文してくれることになった。数日して、某事務職員が「3ミリはもうないそうなので、3.5ミリで我慢して下さい」と言って、100枚の束を2冊持ってきてくれた。

 受け取った時には何とも思わず、むしろ、手に入ってよかったという安心の方が強かったのだが、いざ使い始めてみると、この0.5ミリの違いに対する違和感非常に大きく、ストレスがたまることこの上ない。長年体に染みついた感覚、或いは人間の感性の繊細さというものに改めて驚く。1行おきだと窮屈で、1.5行おきだと妙に間抜けな感じだ。くそ〜〜っ!