塵も積もれば「生きる糧」



(1月28日付『読売新聞』宮城県内版 佐々木徳夫氏の訃報引用 佐々木氏は東北の民話を一万話以上集め、吉川英治文学賞を受賞した元高校教諭)

読売と毎日には、県内版とはいえ、信じられないくらい大きな訃報が出た。自宅は確か一高のすぐ近くである。何年か前、社会部の諸君が何回かにわたってインタビューに行き、その記録を読ませてもらったことがある(今回探したが、発見できなかった)。一般人を対象としたフィールドワークがいかに大変な作業かということは、上の記事からも少し伺える。絶筆となった文章で、「どんな小さな事柄でもこつこつと人知れず努力すれば」の後ろに「大きなことが成し遂げられる」とは続かず、「生きる糧にもなる」と続くところに、民話採集という仕事を通して栄誉を求めるのではなく、自分自身と向き合ってきた氏の姿勢を垣間見る思いがした。一万を超える民話を集めたことも含めて、正に「偉業」である。合掌。