珍客来たる・・・休暇の使い方と電線



 先週の金曜日から今週月曜日にかけて、我が家にはドイツ人の家族連れご一行様が来ていた。食事や寝具の心配はあるし、せっかくだからあちらこちらへ案内したいし、子ども達は珍客に興奮するし、ドタバタと大変な大騒ぎであった。

 基本的にはひどく個人的な話であって、詳細な報告をするには及ばないのだが、印象に残ったことを三つ書いておこうと思う。


【休暇】

 ご一家は、小学生である二人の娘も含めて、二週間の休暇を取って来日した。二週間の休暇を取るということは、土曜日から、次の次の次の日曜日までが休みということになる。彼らは、日曜日に家を出て飛行機に乗り、月曜日に来日して、翌週木曜日の飛行機で帰国した。時差の関係で、その日の夜には自宅に帰り着き、金土日と三日間休んで、仕事・学校に戻ることになる。

 子供を連れていたということもあるのだろうが、私ならもっと貪欲なような気がする。せっかくのめったにないチャンスなのだから、土曜日に出発して、せめて土曜日までの二週間は確保し、日曜日一日休んで仕事、疲れるけど我慢、と考えるだろう。

 彼らと、事前にメールで滞在中のスケジュールについて連絡を取り合っていた時、「せっかく10日も日本にいるんだったら、仙台だけではなく、京都か東京だけでも行ったら?いいところだよ」みたいなことを書いてやったりもしたが、あまり関心も執着も示さない。日本の出来るだけいろいろな所を見たい、と思っていないわけではないにしても、ドタバタとあわただしい旅行はしたくないという風であった。

 これは、ドイツ(またはヨーロッパ、または欧米)と日本という問題なのだろうか?それとも、彼らと私という問題なのだろうか?


【電線】

 ドイツ人一家のご主人B氏と二人で車に乗り、一寸した用足しに出かけた時、Bが電線を指さして、「日本の街は本当に電線がいっぱいあるねぇ。ドイツではみんな地下に埋められている」というようなことを言った。話を聞いていると、日本の街で最も印象的なのが空を横切る「電線」だったようだ。

 以前から、日本人の街の美観に対する鈍感さ、物事をコストでしか考えられない心の貧しさを象徴するのが、無粋に張り巡らされた電線であると思い、折ある毎に不満を述べている私としては、正に我が意を得たり、であった。単に私が神経質なのではなく、やはり欧米人(と括っていいのではないだろうか)にとって異様な物に見えるようなのである。

(続く)