週末の高校生企画ふたつ



(2月13日付学級通信より)

 家の外をぼんやり眺めていると、明らかに陽射しは春である。ところが、一歩外に出ると厳寒!おまけに強風で、なかなか辛い週末だった。

 私は二日間、高校生が関わる二つのイベントの世話役をしていた。

 土曜日は、宮城県内の某文化団体が開いた被災地の高校生座談会。これは、その団体が毎月発行している冊子(通信)のための企画で、私はE3の二人とともに出席した(立場は引率者・傍聴)。他の高校からも3年生が3人出席して、1時間半にわたり、70歳くらいの大先生の問いに答える形で話が進んだ。これは文句なしにすばらしい会だった。いくら各校から「これは」と思う人物を選んで依頼したとは言っても、高3ともなれば、これほどしっかりと自分・地域社会・未来を見つめられるものなのかと感心した。高校生に「希望」を見た思いがした。冊子の完成が楽しみだ。

 日曜日は、E1の諸君にも頼んであった、東京から来た有志高校生との交流会である。教室で話した時はなかなかの反響で、これなら少なくとも10人は来てくれるであろうと思っていたが、3人だった(裏切ったね・・・?笑)。東京から来たのは「平和ゼミナール」という団体に所属する、社会的問題意識の高い、生真面目な人達だったので、一瞬、「あれれ?交流会になるのかな?」と心配したが、3人とも彼らの問いかけによく答え、大健闘をしたと言ってよい。特に、F君が東京の高校生に対して、「家族を大切にして下さい。俺は以前、家族が大嫌いで、一人ででも生きていけると思っていました。しかし、震災によって、自分は家族に支えられて生きている、家族は大切だ、と思うようになりました」と語った場面は印象的だった。

 後から聞いた話、彼らは帰路のバスの中で、ひどくご機嫌だったそうだ。お互いに異質な人間と出会えたことは、とてもよい刺激(きっかけ)になったはずだ。そうして人間は成長する。よかった、よかった。


(おまけ)会の冒頭、東京の高校生から、3人に被災体験を聞かせて欲しいという要望が出た。3人は一生懸命話していたが、残念ながら、自分たちの家が海に近いのかどうかなど、基本的な情報が不足しすぎていて、話がうまく伝わったかどうかは怪しい。お話でも文章でも同じ事なのだが、上手に表現することの基本は、自分にとって自明のことが他人にとっては自明とは限らないということをわきまえ、どこまで説明すれば、相手は自分が語ったことを理解し、イメージできるのかを判断することである。諸君にはそういう力がまだまだ不足している(何歳になっても難しい)。人と語り、反応を窺うことで、そういうことも学べる。何事も「実戦」によってこそ成長するのである。


*裏面には、このブログの2010年4月28日と2011年2月10日の記事引用