りんごジャム



 二月も半ばになって、昨年度受け持っていた生徒(浪人生)から、合格の報が届くようになってきた。大学入試などというものを、あまり大仰に考えたくはないが、若者が一つのハードルを越えたことについては、素直に喜びたいと思う。こう見えても、一応、浪人生の心配は(心配だけは)しているのである。

 話は変わるが、我が家では、毎年クリスマスの前後に、亘理のりんご農家から大量のりんごをまとめ買いする。そして、2月の終わり頃までかけて、それを生で食べる一方、大量のジャムを作って1年かけて消費するのである。

 例年より一ヶ月ほど遅く、三連休の初日と最終日に、りんごジャム作りに精を出した。昨年末に、その農家に行った時、「今年のりんごはよくないよ」と言われていたのであるが、実際、本当によくない。生で食べてもあまり美味しくないだけではなく、当たりはずれが大きい。今回ジャム作りをしても、甘みが足りない上に、煮くずれがしにくいような気がする。

 りんごの質が悪いのは、もちろん、昨夏の異常な暑さによる。暑さそのものもなかなかこたえたが、野菜の値段はものすごく上がったし、加えてりんごもよくないとは、昨夏の暑さもたいしたものである。今更ながらに、自然の影響力の大きさと、自分たちが自然の中で生かされていることとを感じる。

ところで、思えば、昔はりんごジャムというのがジャム類の中で最もポピュラーだったような気がするが、最近は、ベリー類に押されてか、見ることがめっきり減ってしまった。上品で癖がなく、お菓子にも使いやすいりんごジャムが、なぜこれほど売られていない、いや、売られなくなったのであろうか?そんなことも考えながら、味見と称してつまみ食いをしつつも、20本ほどのジャムが完成した。