語り合った夜・・・水産高校便り・番外編



 昨夜は、水産高校1学年担任団の分散会(本当は分散どころではない。年度末の成績を巡って、これからドタバタが始まるというのに!)ということで、秋保温泉に泊まりであった。会場は「岩沼屋」という分不相応な(?)高級宿。私にとっては一高「強歩大会」のゴールとしてとても懐かしい場所である。

 恐ろしいことに、15人ほどいる1学年担任団で、最年長は私だ(ちなみに、宮水の平教諭で私は8番目)。四つのクラスの担任は20代前半、後半、30歳、40代前半である。今時、若者に囲まれて何かをするというのは、相手が生徒以外ではまれだから、そんな彼らと一緒に仕事をするというのは、それだけで心楽しいことである。

 昨日は、期末考査の最終日で、それが終わった後、大学進学と公務員受験を考えている生徒を集めて、ガイダンス的な集会を開いた。1年生の4分の1に相当する35名ほどの生徒が集まったのだが、その時の生徒の態度、表情が真剣・ひたむきであった。また、進路や普通教科を担当する数名の教員だけが、その集会に出席すると見込んでいたところ、いつの間にか、1学年の多くの教員が会場に顔を見せていた。これらの結果として、この集会は非常に雰囲気がよく、前向きで発展的な何かを感じさせるものとなった。会の終了後、その場にいた多くの教員が、満面の笑みを浮かべながら「すばらしい集会だった」との感想を口々に述べていた。こんな出来事の後の宴会が楽しくないわけはない。

 宴会は午前1時過ぎまで続いた。その熱かったこと!話はすべて仕事に関することである。みんなが、「この学年を宮水で一番の学年にするんだ」、「自分のクラスこそ宮水で一番のクラスにしたい」と、口から泡を飛ばしながら語り、そして「この学年は絶対に宮水で一番いい学年になる!」と確信を述べる。今の学年も、実際のところ多くの問題を抱えてはいる。しかし、そんな状況の中で、この底抜けの前向きさ、明るさは一体何なのであろうか?私もたじたじとなるほどであった。よく「今時の若者」「今時の教員」と形容されるマイナスなど微塵も感じられない。何とも気持ちのよい会であった。

 宮水の生徒は、確かに学力は低いけれども、荒れているわけではない。いわゆる「気のいい」生徒が多いと思う。学力が低いために、授業を中心として、この学校で行われていることが、「後期中等教育」の理念に一致しているかと言えば、さすがにそうとは言えない。しかし、「教育」もしくは「人間教育」というものの理念には間違いなく一致しているだろう。

 明るく純粋な若手教員と、そんな水産高校の教育について語り合える時間は楽しい。いい夜だった。私は、自分が最年長であることなんて、一秒たりとも意識することはなかった。