哀しい自分



 一週間くらい前から、再び(三度?)走り始めた。2月27日に、今年の「走り初め」をした旨書いたところ、震災でそれどころではなくなり、また不健康な生活を続けることになった。

 今でも、自宅の回りは臭いし、ほこりっぽいし、なかなか快適に運動の出来る環境にはない。

 一方、現在、水産高校仮校舎のある石巻北高(旧河南町)界隈は、運動するにはなかなか快適である。今日はさほど忙しくなかったので、制度上の勤務時間(あえて「制度上の」と書いたのは、この時間に勤務が終わる確率が非常に低いからである)が終わるやいなや学校を出て、数百メートル離れた北上川へ行き、土手の上を3Km上流まで走って引き返してきた。北上川の美しさについては、かつて(昨年10月24日)書いたことがあるが、河口から約15Km遡ったこの辺りでも、川幅は全く狭まらず、梅雨時の雨を集めても急流と化すこともなく、まるで湖のような悠然たる川の相を見ることが出来る。連れラン仲間(師匠)であるI先生は、平坦すぎて面白くない、と言っていたが、私はこの川と、反対側に広がる田んぼを眺めながら走るのは好きだ。まるで「日本の田舎かくあるべし」といった感じののどかな風景である。

 ところで、30分ほど走って学校に戻ろうと、鹿又駅前辺りで土手を下りようとしたところ、反対側から生徒が3人歩いてくるのが見えた。中の1人は、我がクラスのH君ではないか。どうしてこんな所に生徒が来るのだろう、と思った次の瞬間、「タバコなんか吸っちゃダメだぞ」という言葉がのどの所まで出てきた。結局、「よお!」みたいなことを言っただけですれ違ったのだが、直後、何とも不愉快になった。彼らに対してではない。自分自身に対してである。今年度に入ってからわずか1ヶ月半ほどの間に、我がクラスが全校で最も多い停学者を出しているのは確かだが、それでも、北上川の土手に上がってきた生徒を見て、何か悪いことをしに来たのではないか、としか思えなかった自分は哀しい。

 学校に戻って、職員室でこんな話をしていたら、M先生に「彼らだって、あの広々とした川の風景を見たくなることだってあるさ」と言われてしまった。情けない。