欲しい「人材」はどこでも欲しい



 今年度は担任をしているということもあって、結局、週に1度は「学級通信もどき」を出すようになってしまった。ただし、日曜日の夜が落ち着かないのは嫌なので、既に「第2次月曜プリント」と称して、この場に転載はしてきたものの、実際には木曜日に出すことが多い。前任校時代は、1枚のプリントから、章毎に1日ずつずらしてアップしていたが、それほどのものでもないので、1枚のうち、まあ何とか公表に足る部分だけを、一日で一気にアップすることにした。新しいカテゴリーを作ろうかとも思ったが、大層なのでやめて、過去に遡り「生徒」の所に分類することにする。

(9月1日付「第2次月曜プリント」から加筆訂正して転載)

 先週の金曜日、ある会社の新入社員採用面接の経過を追った番組を見た。面接の場にもカメラは入り、応募者も実名で登場するという珍しい番組だ。大企業ではないが、わずか8名の募集定員に対して、800名以上が応募するという超人気企業である。詳細な志望理由書に目を通すところから3次面接まで、社長と副社長が自ら当たっていた。

 う〜ん、なるほど優秀そうなのが残るなぁ、と感心しながら見ていた。と同時に、もう一つ感心したのは、ほとんどの志望者が他の会社とかけ持ちをして就職活動をしているのは、大卒であれば当然だろうが(高卒者は1社ずつしか受けられない)、最後の十数人にまで残った学生というのは、他の会社でも順調に面接を重ねているらしい、ということだ。

 そう言えば、かつて私が関わった卒業生で、資格を持っていても就職が難しい中、「農学部」にいながらある会社から見込まれ、社員として採用された上で「受験勉強」を命じられ、「公認会計士」という難しい資格を取った人がいた。会社というのは、大学で学んだ専門知識も資格もどうでもよくて、その人の人柄なり、考え方なり、能力なりが優れていると思えば、その人材を貪欲に欲しがるものなのだということに驚きもし、納得もしたことだった。

 卒業生を見ていると、優秀な人は、就職超氷河期なんてまったく関係ない。内定を取れる人はいくつでも取れる、取れない人は何社受けても取れない、ということがよく分かる。その差は残酷なほどはっきりしている。

 では、内定がいくらでも取れる人とはどのような人なのか?基本的能力は必要だが、何よりも誠実な人柄、そして前向きな考え方と行動力を身に付けている人、と言ったところだろうか。では更に、そのようになるためにはどうすればいいのか?それは諸君自身が考えることにこそ意味はあるだろう。しかし、打算的に「うまくやる」方法を考えてもダメだということは確かだ。自分自身の問題意識に基づき、よりよいものを目指してひたむきに生きる。ここからしか「人材」は生まれない。


【逃げるな!!・・・部活動とアルバイトを考える】

 北高体育館の避難所が、昨日、ついに廃止となり、春以降で初めて、放課後の体育館でボールを追う生徒の姿を見て感動した。

 そんな折、我が書道愛好会は、転部を希望する見学者で盛況であった。すべて運動部からの転部希望者で、書道の方に魅力を感じるのではなく、宮水の部活全入制の下で、少しでも楽な、出来れば何もしなくてすむ部活に移りたいということらしいから嘆かわしい。結果、せっかく道具を用意してあげても字は書かず、ついつい携帯電話に手が伸びるというお粗末!

 人間、楽であることは幸せとはイコールにならない。まして、若い諸君はなおさらだ。もちろん、私は「部活が全て」などとは全く思っていない。しかし、経験上、授業は別格として、部活(生徒会等含む)以外で自分を伸ばすことの出来るフィールドを見つけ出し、そこで頑張れる人は「まれ」である。残念ながら、部活をしなければ、だらだらと暇をもてあまし、やがては悪いことをするというのがオチである。

 何人かの人が、「アルバイト許可願い」の用紙をもらいに来たが、それに対しても私は渋い顔をした。バイト先の人間関係や、金を持ったことによる堕落もまた、残念ながら耳にすること多い。今年は事情が特殊なので、家計のために本当にやむを得ない人もいるかも知れないが、信じられないほど豊かな給与型奨学金の枠を考えると、そのような人が多いとは思えない。私としては、高校時代にしかできないことにこそエネルギーを費やして欲しいと思っている。おそらく、これは諸君の親の願いでもあるだろう。

 

【錨章祭が始まった!!・・・】

 先週の曜日は1日中、昨日は3校時以降、E1のクラス全員がそろっていた。めったにない(←本当はこちらがおかしい)ことだし、担任としては気分がいいものである。

 さて、今週月曜日のLHRから、いよいよ「錨章祭」がスタートした。まだまだ、クラス企画の原案さえも生まれてこない状況だが、本番まで1ヶ月半あまり、クラス全員で楽しみたいものである。このような大きな行事は、本番のことだけ考えていてはいけない。そこに至る準備も含めて「錨章祭」なのである。ぜひ、手間のかかった、オリジナリティと諸君の個性輝く企画を実現させてくれたまえ。


(補)裏面の新聞記事は、8月29日付『朝日新聞』から「夢の旅人惑星巡り34年」(NASAの探査機ボイジャーが太陽系を完全脱出する初めての人工天体になるという話)

平居コメント「宇宙の話は、時間的にも空間的にも壮大で、常にロマン掻き立てられる。「はやぶさ」だけではないのだ。」