「成功」の対義語は何か?



(12月8日付第2次月曜プリントより、加筆訂正して転載)

 先日、ある会議の席で、北高の保護者による車での送迎が多すぎる(100台ではきかないだろう)、しかも、そのうちの多くが車を校地に乗り入れて昇降口に横付けというのだから異常だ、という話になった。その場にいた多くの教員が自らも「親」だったこともあって、話は教員という立場を超えた子育て論へと発展していった。そして、全員が一致していたのは「送迎は子供をダメにする」ということであった。もちろん私も同意見である。

 私が高校時代、10kmや15km自転車で通っている生徒は珍しくなかった(山越え20kmはさすがに尊敬を集めていたように記憶する)。保護者による送迎など、よほどの怪我か病気でなければ見たこともない。どうして、JRの駅に隣接する北高に、保護者が車で送って来なければならないのか、まったく理解できない。ノスタルジーではないだろう。便利なもの、快適なもの、安易な方法は、すべて人間をダメにし、成長させないのだ!自立せよ、若者!!そして、たくましく伸びよ!!

 校門で立ち番をしながら見ていて、車で送られてくる宮水生が非常に少ないのは、私たちにとって少し救いである。


【刺激になった就職理解ガイダンス】

 月曜日の午後に行われた就職理解ガイダンスで、私は5校時に代議士秘書Gさん、6校時に保険代理店社長Sさんの話を聞いた。どちらも私の知らない世界の話で、退屈することなく聞けた。印象に残ったのは、以下のような言葉であった。


 ・今大切なのはIQ(知能指数=頭の良さ)ではなくNQ(ネットワーク指数=人間関係を作る能力)だ。人とうまくコミュニケーションを作れる人がいい仕事をする。(Gさん)

 ・「成功」の対義語は「失敗」ではない。「あきらめて止めてしまうこと」だ。(Sさん)

 ・プラスの言葉を使うと、脳が勘違いを起こし(=出来ないことでも出来ると思ってしまう)、必ず人生が上向きになる。(同前)

 ・「見方」が変われば「行動」が変わり、「行動」が変われば「習慣」が変わり、「習慣」が変われば「人生」が変わる。(同前)


 私も体が一つしかないので、2人の話しか聞けなかったが、多分、他の方々もいい話を聞かせてくれたのではないかと思う。

 ところで、5校時は、Gさんの話が少し早く終わったので、他の教室の様子も外から覗かせてもらったが、失礼にも、机に突っ伏して堂々と寝ている人の姿も少々目に付いた。終了後に諸君が書いた感想にも目を通したが、同じ人の話を聞きながら、ずいぶんいろいろなことを学び考えたらしい人と、何も書いていない人がいるものだと感心した。朝学習と同じで、同じ条件にありながら、学ぶ人は学ぶ、学ばない人は学ばない。「つまらなかった」という人は、本当に話に内容がなかったのか、自分がそれを見つけ出せなかったのか、ちょっと考えてみよう。