継続こそが偉大だ・・・モイヤーと山本の大記録



 8日に、年が明けてから断続的に腰痛がひどいという話を書いた。そして翌日、遂に整形外科に行った。腰のレントゲン写真を4枚撮って診察室に呼ばれた。医師は写真を見ながら、こう言った。「平居さん、安心してください。病気ではありませんね。年相応の変化だということです。」安心どころの話ではない。病気なら治すことも出来るかも知れないが、年となるとそうはいかない。ある意味で、病気よりも年の方がよほどたちが悪いのである。「切って、すっきり治ったりしませんか?」「切るところはありませんねぇ」・・・そんな会話を少しして、私は寂しく家に戻った。

 折しも昨日の新聞に、アメリカ大リーグ・ロッキーズのモイヤー投手が、49歳5ヶ月で勝利投手となり、80年ぶりに大リーグの最年長勝利記録を塗り替えた話が載っていた。思えば日本でも、15日に中日の山本昌広投手が、46歳8ヶ月で日本記録を更新したばかりだ。

 モイヤーは、私(49歳7ヶ月)とほぼ同じ年齢である。私は、40歳になる前から「四十肩」というものになり、特に利き腕である右手が上に上がらなくなった。恥ずかしながら、私も20代までは草野球でマウンドに立っていたが、今や草野球レベルですら投げられるような気はしない。そんな私にとって、モイヤーの記録は気が遠くなるほど偉大なものだ。おそらく山本にしてみればなおさらのことで、モイヤーとの3歳の違いを、正に「天文学的」と言ってよいほど大きな差に感じていることだろう。100m走でも、世界記録のレベルでは、0.01秒を更新することが至難だ。レベルは高くなればなるほど、外見上のほんの少しの差が、果てしなく大きい。

 モイヤーは知らないが、山本の通算成績などを見てみると、少し面白いことに気づく。彼はデビュー以来211勝を挙げている。日本では、名球会入り=大投手の条件が200勝だから、山本は堂々たる大投手と言える。ところが、27年間の投手生活の中で、10勝以上勝ったのはたったの10シーズン、15勝はそのうち3シーズンしかない。1シーズン平均は7.8勝である。ひどく平凡な数字に見える。つまり、彼が211勝も挙げることが出来たのは、正に「細く長く」続いているからなのである。しかし、今の私の年になって初めて、211という数自体よりも、この長く続けられるということこそが偉大なのだということに気付く。やはり山本は大投手である。いわんやモイヤーにおいてをや。