SSHよりも夏山合宿だろ?



 昨日の続きのような話。

 登山の大会に行くと、暇な時間も結構あるので、旧知の顧問とぐだぐだ話をしている。もともと、山岳部の顧問として知り合ったわけだから、山の話が少なくない。話は、約2ヶ月後となった夏山合宿の話となる。

 少なからずショックだったのだが、いくつかの学校で、合宿の日程を取るのに四苦八苦していた。4泊5日は夢のまた夢、3泊4日も難しく、なんとか頑張って2泊3日かな?と言う。それが、顧問の家庭の事情や学習時間確保のためというならまだ分かるのだが、学校行事との関係だとなると、困ったものだと思う。課外や模試、SSH(スーパーサイエンスハイスクールという県の指定事業。生徒の理科離れを食い止め、技術立国日本を守り育てるのが目的だったと記憶する)のイベントで、本当に空いている日がないのだという。今回は特にSSHという話を繰り返し耳にした。

 正直言って、山岳部のある学校は、成績が比較的よい生徒の集まる学校が多い(だから、いくつもの学校でSSHが絡んでくる)。このような学校でこそ、生徒自身が学ぶ力に期待し、あまり手をかけない方がいいと思う。理科的探究心だって、大切なのは授業その他で興味関心を喚起することだけで、それ以上のことは、やったが最後、必ず能動性を失い形式的なものになって、先へと伸びて行きにくくなるに違いない。実際を見ていないので、あまり偉そうにものは言えないのだが、これだけ組織的で大規模な事業が、内発性によって支えられるなどあり得ない。主導者が官だとなると、なおのこと、体裁を整えることに汲々とし、煩雑な書類の準備をするのに面倒な思いをするようになるだけであることは明白である。むしろ、山岳部の活動こそ、理科的探究心を育てるという点でうってつけのものだ。

 学校が非常に窮屈で、することを過剰に抱え込み、生徒を囲い込んで芽を摘んでいく傾向があることは、分かりすぎるほど分かっていたつもりだったが、それでも、今更ながらに、夏休みに4日か5日の合宿が組めないというのは悲しい驚きだった。