まったりとした時間に身を委ねる



 この3日間、登山新人大会(という名の交流会?)の助っ人を頼まれて、大東岳(1366m)へ行っていた。例によって女子隊係である。3日間とも日中はいい天気で、カッパを着ることもなく、予定通りの行動を無事終えることが出来た。

 ただし、「猛暑の夏」は名残が尾を引いていて、なかなかに蒸し暑く、Tシャツ1枚でも汗をかきかきの山登りとなった。急坂を登り切り、標高1300メートルを少し超えた「弥吉ころばし」で風に吹かれて、ようやく肌寒さを感じるくらい。年によっては、新人大会で雪が舞ったりするわけだから、信じられない温かさである。これがこの連休だけの話ではない証拠に、例年見ることの出来る鮮やかな紅葉はまったく見られず、「弥吉ころばし」から上で、かろうじてそれらしきものが見られただけだった。「それらしきもの」と書いたのは、なんだか「紅葉」と言うより、単に「黄ばんだ」若しくは「枯れた」と言った方がいいようなしなびた紅葉だったからである。何でも、然るべき時に然るべき状態でないというのは具合が悪い。

 一方、生徒は元気だった。140名という近年まれに見る大量の参加があった上、登山経験の浅い生徒が多い新人大会であるにもかかわらず、一人の落伍者(リアイア)もなく、いや、それどころか、体調不良を訴えたり遅れがちになったりする生徒すら出ず、全員がゴールすることが出来たのである。

 前任校とライバル関係にある某「青い学校」からは、遂に女子パーティーが参加、しかも、タイツにスカートという、おそらく大会史上初の「山ガール」姿による登場で話題をさらった。時代は着実に変化しているらしい。

 3日間、グダグダといろいろな人(生徒、教員、OB)と他愛もない話をしていた。常にやることを抱えている私は、本を3冊も持って行っていたにもかかわらず、20ページくらいしか読めなかった。これはこれでいい。四六時中あくせくしているのではなく、まったりとした時間の流れに身を委ねるのも、時にはまた必要であり、いいことだと思う。「仕事」として行ったには違いないが、妙に癒されて帰って来た私であった。