「普遍性」の発見と「当てはめ」が活路を開く



 今日で10月も終わり。明日から11月となる。古称では「霜月」と言う。思えば、石巻でも朝の気温が10度を下回る日が増えてきた。本当に霜が降りるまで、もうわずかなのだろう。インフルエンザ調査も始まった。が、とにかく忙しい11〜12月になりそうである。お互い自己管理に気を付け、元気に過ごそう。


【まずはインターンシップだ!】

 早くも来週がインターンシップである。教員の側でも調整に苦労し、諸君としては不本意な(希望していない)職場に行くことになった人もいるが、私はむしろその方がいいと思っている。希望した職場で、予想と違っていてつまらないという体験をする確率と、希望していない職場で、予想と違って面白いという体験をする確率は同じだ。頭を揺さぶり世界を広げるなら、明らかに後者の方が断然いい。よく言うことだが、学ぶ人はいつでも、何からでも学ぶ、学ばない人は何からも学ばない。

 ところで、私の担当は「桃の浦かき生産者合同会社」「あいのや渡波店」「ヤマサコウショウ」である。先週、諸君がやっとの思いで書き上げた自己紹介書を持って行ってきた。行くまで気付かなかったのだが、「桃の浦〜」は、震災後、県知事の肝いりで誕生した「漁業特区」を具体化するための初めての会社である。行って少し話をし、そのことに気付いた私は、インターンシップの打ち合わせを5分で済ませると、その後40分に渡り、夢中になってそれについての話を聞いた。「漁業特区」の背景には、漁業者の高齢化=浜の衰退という、震災以前からの社会問題がある。ヤマサコウショウでは、ともに宮水OBである営業部長と現場担当者が、宮水に対する期待を熱く語ってくれた。宮水と石工が頑張らなければ、石巻の産業は元気にならない、だそうである。

 仕事だけではなく、その仕事を支え、その仕事によって支えられている地域の事情や人間関係など、学べることは思った以上にたくさんありそうだ。私も諸君の様子を見に行くという口実で、インターンシップ期間中にそれらの会社をまた訪ねられるのを楽しみにしている。


【「普遍性」の発見と「当てはめ」が活路を開く】

 鈴木裕己氏(愛知県蒲郡市、株式会社プロ・スパー代表取締役)による進路講演「発想の転換水産業の活路を開く」が行われた。この講演会についての話を聞いた時、面白そうだなと思うと同時に、情報科学科の諸君が「水産業なんて俺たちに関係ねぇ〜」「聞かねくていぃ〜」と大騒ぎする様子がすぐに頭に浮かんだ。

 「水産業」と聞けば、水産業以外にはまったく関係ないと思うのは本当に愚かなことである。大切なのは「発想の転換が活路を開く」ということだ。一流の人の話には、必ず普遍的な何かが含まれているもので、それを見つけ、自分の道に当てはめることが出来れば、道は開けるのである。ま、このような話は朝のSHRでもした。その結果かどうか、話を聞く態度もいつもより多少は良かったようだ。

 私自身も勉強になった。感心したり共感したりしたのは例えば以下の通り。

 ・成功の秘訣は、何をすべきか自分で考え、自分で決めて、自分で歩むこと。

 ・成功するためには、夢を持ち、最短距離で実現させられる方法をいつも考える。

 ・安売りはしない。漁師さんからも買いたたかない。質のいい物を、フェアに取引する。

 ・起業した人で5年生き残れるのは10%、10年生き残れるのは1.5%。


【えっ!?本当に「劇」するの・・・???!】

 錨章祭(12月7〜8日)がようやく動き出した。昨年に引き続いて「クラス演劇」という話は少し耳にしていたが、クラス企画に行き詰まり、苦し紛れで言っているだけだろうと思っていた。しかし、昨日文化祭係のT先生から「平居先生のクラス演劇何分かかりますか?」と尋ねられてビックリ仰天。既に企画として正式に提出されていたとは知らなかった。とは言え、具体的な作業は何も進んでいないだろう。私は、声を掛けられれば相談にも乗り、協力はするが、私自ら諸君を操るようなことは決してしない。しつこくもう一度確認するが、質はかけた時間に比例する、何をやってもよいが、少しでも質の高いものを作ろうと背伸びする、これが私の全条件だ。


(裏面:10月22日付『朝日新聞』より、「奇跡の星はあるのか〜太陽系外の命に期待ふくらむ」を引用。

平居コメント:一口に20光年とか600光年とか言うけど、光の速さは秒速30万キロ、最速の人工物であるロケットが秒速10キロあまりということを思うと、宇宙って本当に広いんだなあ、と思う。生命の存在も含めて、そこで起こっていることは何もかもロマンだ。宇宙だけではない。記事のようなことを考え、観測できるようにしてしまう人間の能力も、だ。ちなみに「ロマン」とは、手の届かないものに対する憧れの感覚である。)