えっ、誰も参加しなかった・・・?!

(12月1日付け「学年だより№71」より②)


【思い込みを捨てて、知らない世界へ・・・】

 先々週の話になるが、「みやぎの水産加工業見学バスツアー」の案内というのを配布、掲示した。塩釜エリアと仙台・仙南エリアの2種類だ。どこの高校でも考査のこの時期にどうしてやるのかなぁ、と少々不満めいたものは感じたのだが、企画そのものは面白く、諸君にとっても価値があると思ったので、担任にぜひ参加を勧めて欲しいと訴えた上、一部のクラスでは授業の時にも宣伝した。
 ところが、残念ながら、2日間とも本校からは誰も参加しなかったらしい。おそらくは、「どうせ自分は水産加工業なんか就職しないし」とか「魚臭い工場なんか行きたくないよ」といったところであろう。
 これはよくない。いつまでたっても狭い思い込みの中で生きることになる。自分の興味ある分野なんて、意識しなくても情報は入ってくるのだから、むしろ興味ない分野にこそあえて目を向けようとしてみるべきなのだ。参加費はタダだし、行ったからといって就職を強いられるわけではないし、お土産までくれるというし、多少の時間を費やすとしても、勉強になるということを考えると、デメリットは何もなかったはずだ。
 以前からよく言うとおり、「食」は近未来の極めて重要な産業だ。今の水産加工場はオートメーション化が進んでいて、おそらく諸君のイメージする工場とはずいぶん違うだろう。そもそも、知らない世界を知るというのは、それ自体が楽しいことだし、知識というのは、どこでどのように役に立つかまったく予想がつかない。将来、仕事で行き詰まった時に、水産加工が新しい企画のヒントになることだって十分に考えられる。
 とにかく、世界を広げる。思い込みの中に閉じこもらない。そう心掛けることで「大物」にって欲しい。次のチャンス(水産業とは限らない)には、ぜひ「塩高生だけで定員が一杯になってしまいました」と主催者が悲鳴を上げるほどになりますように・・・。


裏面:11月16日付け毎日新聞より「高卒就職 離職防止へ模索続く」を貼り付け。
平居コメント:高卒者がよく辞めるという声を聞くことは多い。対策としてよく言われるのが、事前学習やインターンシップ(表で触れた会社・工場見学会もこの一種)だ。しかし、どんな職業でも会社でも、事前に知り尽くすことは出来ない。その世界に入ってみて初めて分かることというのは絶対にある。「思っていたのと違う」という経験をしたことのない社会人なんて、おそらく皆無だろう。
 だから、失敗したといって会社を辞めても、次の会社でまた同じ状態に陥る可能性は高い。ではどうすればいいのか?私の答えは、ズバリ「がまんする」だ。
 何事もがまんし、その仕事の魅力を見つけようと努力した先にしか、本当の面白さはない。高卒であれ大卒であれ、そんな覚悟をもって社会に出るべきだ、と思う。